[Vol.1002] 金相場年内2,000ドル回復は単なる妄想なのか?

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。65.90ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,907.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は13,755元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年07月限は426.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで703.5ドル(前日比2.4ドル拡大)、円建てで2,456円(前日比28円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月26日 19時0分頃 先限)
6,681円/g 白金 4,225円/g
ゴム 254.6円/kg とうもろこし 32,050円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金相場年内2,000ドル回復は単なる妄想なのか?」

前回は、「Gはプラチナ価格の長期上昇要因」として、ESGが世界に浸透する過程で起き得るプラチナ市場への影響について、企業統治(Governance)の面で考察しました。

今回は、「金相場年内2,000ドル回復は単なる妄想なのか?」として、年内の金相場の動向の全体像を考えます。

足元、金(ゴールド)価格の上昇が目立っています。3月はじめから先週末まで、およそ10%、上昇しました。

上記の図のとおり、昨年8月につけた1トロイオンスあたり2,000ドルに再度到達し、さらに上値を伸ばして史上最高値を更新する気配が漂いつつあります。


図を見た時、筆者の頭の中に、「どうなれば、年内に2,000ドルに到達するのだろう?」と妄想じみた考えがよぎりました。しばらく妄想したところ、次の仮説が思い浮かびました。「足元の上昇要因が継続すれば」現実になるのではないか?と。

以下は、2020年3月に発生し、金さえも売られた総売り「コロナショック」以降の、金相場の上昇時の要因です。これらの足元の上昇要因が継続すれば、妄想が現実のものとなる(金相場が年内2,000ドルに達する)のではないか、と考えました。

これら4つの材料は、今後も存在し続ける可能性はあるのでしょうか。次回以降、4つの材料の今後の展開について、考察します。

図:金相場、年内2,000ドル到達に必要だと考える材料


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。