イランは中国とインドに原油を輸出しているのか?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。58.48ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1429.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)横ばい。9月限は10660元/トン近辺で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。9月限は448.8元/バレル近辺で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで549.5ドル(前日比4.6ドル縮小)、円建てで1907円(前日比20円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月31日12時20分頃 先限)
 4971円/g 白金 3064円/g 原油 40980円/kl
ゴム 176.4円/kg とうもろこし 24470円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「イランは中国とインドに原油を輸出しているのか?」

前回は「“金融相場”が原油相場に与える影響」として、金融相場時、原油価格がどのような条件で変動するのかを考えました。

今回は、「イランは中国とインドに原油を輸出しているのか?」として、今月主要海外メディアが公表したデータをもとに、今年5月初旬から本格的に始まったイラン石油制裁時における、イランの中国とインド向けの原油輸出量について書きます。

中国とインド向けのイランの原油輸出量は、米国がイラン核合意を単独で離脱し、制裁を再開することを宣言した2018年5月時点で、中国向けが日量およそ70万9000バレル、インド向けが日量およそ73万5000バレルでした。

2018年5月時点で、イランの全原油輸出量に占める中国とインド向けの輸出量の割合は、ともに30%前後でした。両国はイランにとって非常に重要な輸出先だったわけです。

以前の「制裁期間中のイランで増加する、仕向地不明の原油輸出量」で述べたとおり、米国による制裁のため、イランの原油輸出量は2018年5月以降、減少傾向にあります。

同データによれば、2019年6月時点で、中国向けが日量およそ13万3000バレル、インド向けが0バレルに減少しました。

イラン産原油を輸入することが、米国による制裁の対象になるため、中国もインドも、6月はイランからの輸入量を可能な限り減少させてたとみられます。

2011年頃に目立った、欧米などによるイラン制裁時、イランの原油輸出量が急減しました。その際、中国はイランからの輸入量をさほど減少させず、むしろ増加させる場面すら見られました。

足元は上手く制裁が行われているように見えるものの、2019年3月に一時的に中国向け輸出量が増加する場面がみられるなど、まだ、今回の制裁においても、制裁順守がきちんと達成できるのか、確証が持てない状況にあると言えます。

引き続き、イランの国別原油輸出量に注目したいと思います。

図:イランの中国・インド向けの原油輸出量 単位:千バレル/日量


出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。