第11回、移動平均線 その7、『 指数平滑移動平均線の重要性 』

2.単純移動平均線には欠陥あり!?

□実は単純移動平均線には重大な欠陥がある! ■「げ、そうなんですか?ショックです。」 □単純移動平均線の問題点は大きく二つ。『過去n日間の価格を同じ比重で扱っていること。』『過去n日間より前の価格をすっぱり切り捨ててしまっていること。』このふたつだ。
単純移動平均線の問題点 1.過去n日間の価格を全て同じ比重で扱っていること。 2.過去n日間より前の価格を切り捨ててしまっていること。
■「それがどうしていけないんですか?」 □例えば100日移動平均線というのは過去100日間の価格を足して、100で割るということだが、昨日の価格と100日前の価格と同じウェイトで扱っている。果たしてそれでいいのかという問題だ。 ■「そんなこと考えたこともなかった。いけないんですか?」 □テクニカル分析で過去の価格を解析するのは、過去の価格が現在の価格(及びこれからの価格)に影響を与えるからだ。となると、昨日の価格と100日前の価格が現在の価格に与える影響度合いは同じだろうか? ■「そう言われると・・・。」 □それを解決したのが加重移動平均線。(以下 WMAと呼ぶ。) 例えば5日間の値動きがA・B・C・D・Eだったとする。単純移動平均線は ( A+B+C+D+E ) ÷ 5 だよね。 ■「はい。」 □それに対し、WMAは { A+(B×2)+(C×3)+(D×4)+(E×5) } ÷ 15 となる。最近の価格に比重が高いことがわかるだろう。 ■「なるほど。ところで15で割る意味は?」 □これは5日間の値なのだが、比重をかけたことにより、A・B・B・C・C・C・D・D・D・D・E・E・E・E・Eという15のデータを平均したというようなことになるわけだ。だから15で割らなければならない。 ■「にゃるほど」 □このWMA、問題1はクリアしたが問題2をクリア出来ていない。その両方をクリアしたのが・・・EMAなのだよ。 ■「講師、ちょっと待ってください。2の問題点がいまいちよくわかりません。なんで前の価格を捨てると駄目なんですか?」 □じゃあ、過去の平均的価格と現在の価格を比較するとき、何日移動を使うのが正解なのかな? ■「そう言われると困りますが・・・・短期のケースは何日、中期のケースは何日、長期のケースは何日とか、決めてやればいいじゃないですか?」 □もちろん、そのとおり。でもたとえば10日移動平均線を使っていたとする。ある日に(暴騰とか暴落とか)大きな動きがあった。しばらくはその動きに影響されるが、10日たつと突然、無視される。それって正しいことだろうか? ■「難しいですね。」 □では違う観点で質問するぞ。読者の人も考えてくれ。例として5日移動平均線を考えよう。『5日移動平均線が昨日1000円という値をつけていた。つまり過去5日間の平均値が1000円だったわけだ。で、本日の価格が1050円だった。さて、質問、移動平均線は上向くか下向くか』、どっちだ? ■「そんなの決まっているじゃないですか、昨日の移動平均線が1000円で本日が1050円だったら上昇しているんだから、移動平均線も上向くに決まっているじゃないですか?」 □ブッブー。はずれ。まだまだムサシ君に、移動平均線ソムリエを名乗る資格はないね。 ■げげ。違うんですか?では正解は?