第11回、移動平均線 その7、『 指数平滑移動平均線の重要性 』

4.EMAはテクニシャンの見果てぬ夢!

■「ところでEMAの分析の仕方は単純移動平均線と同じでいいんですか?つまりゴールデンクロスやデッドクロスなど。」 □もちろんだ。過去の講義でゴールデンクロスの意味について解説した。『過去n日間の平均価格を算出してそれを現在の価格と比較する。買い方がマイナスからプラスに移行するのがゴールデンクロス、プラスからマイナスに移行するのがデッドクロス』と。 ■「ですね。それで買い方売り方のマインドがそのクロスポイントで大きく変化すると。」 □しかし、よく考えてみるとそこには大事な見落としがあった。 ■「げ。何ですかそれは?」 □影響を及ぼすのは未決済で残っている注文だけだということ。例えば50日前に買って既に決済してしまった注文があるとする。その注文を何円で買っていたとしても、それが現在の値動きに影響を与えることはない。ここ、すごく重要。 ■「なるほどなるほどなるほど。まだその注文が未決済で残っているからこそ、損が少なくなったら手じまいたいとか、利益があるときはいけいけムードになるとか、現在の値動きに影響を与えるわけですね。」 □そゆこと。 つまり、単純移動平均線のように何日間の平均値ではもの足りない。未決済で残っているもの全ての平均値を知りたいというのがテクニカル分析を探求する人間の見果てぬ夢なのだよ。 このために研究家はさまざまな手法を生み出した。しかし、どれも正確にこれを表したものはない。 ■「でしょうね。誰がいつどこで決済したかなどというのはわからない。」 □ということで正確にはわからないのだけど、月日がたつに連れて少しずつ過去の注文は減っていくというのはわかるよな? ■「次第に決済されていくということですね。当たりまえですね。」 □それを表しているのが、指数平滑移動平均線なのだよ。過去の未決済注文の平均価格というテクニシャンの追い求める見果てぬ夢に、指数平滑移動平均線は単純移動平均線よりずっと近い。 ■「にゃあるほど。」 □だから指数平滑移動平均線をプロは使うのだ。より真実に近付くためにね。 さて、最後にチャートで3つの線を比較してみよう。