第12回、MACD(移動平均収束拡散法) その1

3.MACDの計算式

□では、まずは計算式。 一番上のチャートだが、前回勉強した指数平滑移動平均線が二本。
EMA=EMAy+{2÷(n+1)}×(P-EMAy)
□n日移動の指数平滑移動平均線の計算法。ちなみにEMAyは昨日のEMA、Pは本日の価格。 この数式は前回勉強したばかり。一般的な指数平滑移動平均線(EMA)の計算式だ。
MACD=EMA(短期)-EMA(中期)
□この短期と中期は通常12日EMAと26日EMAを使う。もちろん変更可能なパラメーター。この公式で理解してほしいのはMACDとは二本のEMAの乖離(離れ具合)を示したものだということ。
シグナル=MACDのn日EMA
□こちらは通常9日EMAを使う。この9も変更可能なパラメーター。この公式で理解してほしいのは、シグナルは単にMACDの移動平均ということ。
ヒストグラム=MACD-シグナル
□ヒストグラムはMACDとシグナルの乖離を棒グラフで表したもの。 以上だ。実はそんなに難しくはない。そして、いつも言っているが、週足や時間足等で計算するときも考え方は全く同じ。「○日」のところを「○本」と置き換えるといい。

4.MACDの一般的分析法

□一般的見方としては
・MACDとシグナルのゴールデンクロス・・・買いサイン ・MACDとシグナルのデッドクロス・・・売りサイン
となる。 これはグランビルの法則的に補足ををつけておこう。 シグナルがある程度下がった後で、横ばいあるいは上昇に転じたときに、MACDがシグナルを下から上へクロスする(典型的ゴールデンクロス) シグナルがある程度上がった後で、横ばいあるいは下降に転じたときに、MACDがシグナルを上から下へクロスする(典型的デッドクロス) これがゴールデンクロス・デッドクロスの基本形。 念のために補足するが、これ以外のクロスはゴールデンクロス(デッドクロス)として認めないというわけではない。ただ、信頼性が劣るということ。
MACDとシグナルがゴールデンクロスした後に2本の線がゼロラインを上回る。・・・買いサイン MACDとシグナルがデッドクロスした後に2本の線がゼロラインを下回る。・・・売りサイン
ヒストグラム 減少していたヒストグラムが増加に転じる。・・・買いサイン 増加していたヒストグラムが減少に転じる。・・・売りサイン
ま、一般の本やサイトにはこういう説明が書いてある。 ■「なんかいっぱいあってわかりにくいですね。」 □だな。だからこれだけの説明では使えないのだよ。 この講座『コジテク』では、次の2点を徹底的に提唱している。 1.計算式をマスターし、その意味を理解しなければいけない 2.買いサイン・売りサインをその計算式を元に、何故、それが買いサインなのか、何故、それが売りサインなのか、その意味を理解しなければならない。 ■「それってものすごくハードル高いですね。一般ピーポーには無理では?」 □無理じゃないんだよ。一般的にテクニカル分析の計算式はそんなに難しくない。難しいふりをしているだけなんだよ。 ■「かっこつけて指数平滑移動平均なんて名前付けますからね。改良型移動平均とでも言えばいいのに。」 □そゆことだ。 ■「でも、計算式を覚えるってやっぱり簡単ではないと思うんですが、何故講師は、そこまでハードルを上げるんですか?」 □全てのテクニカル分析には騙しがある。騙しのないテクニカル分析はない。 ■「騙しってのは買いサインが出ても上がらない、売りサインが出ても下がらないというような局面ですね。」 □そう。だから、テクニカル分析の勉強で一番大切なのはどんなときに騙しが出やすいかを知ること、そして・・・騙しをどう少なく抑えるかを研究することなのじゃよ。 ■「なるほど。」 □それは・・・計算式を理解し、買いサイン・売りサインの出る意味を理解しなければ、たどりつけない。そして、そこにたどりつかない限り、テクニカル分析は残念ながら使えない。使えば使うほど落とし穴にはまってしまうからね。
計算式を理解し、サインの出る意味を理解することによって、初めて、騙しをいかに抑えるかということを学習できる。
■「なるほど。とすると、『使える』テクニカル分析を標榜しているコジテクとしてはそこにこだわらざるを得ませんね。」 □そゆこと。