第8回、移動平均線 その4、『 移動平均線の複数使い 』前編

□そして、ゴールデンクロスとは、平均的買い方が今までマイナスだったのがプラスに転じるポイント、売り方で言えばそれまでプラスだったのがマイナスに転じるポイントのこと。前回話したように、そのポイントで売り勢力と買い勢力は大きく力関係が変化する。ちょっと復習の意味を込めてそのことを説明してごらん。

■「じゃあ・・・・『復讐』の意味を込めて説明します。」

□怖い。

■「ゴールデンクロスではそれまでいつ損切り(の売り決済)をしようかと迷っていた買い方がプラスに転じて自信を持って買い方針を貫くようになりますね。またそれまで利益を上げていた売り方は、逆にマイナスに転じてしまい、不安感からそろそろ損切りを検討するようになります。その損切りが買い注文として出てくるので、どちらにしてもやはりゴールデンクロス以降は買い方が優勢になるわけです。こんな説明でどうですか?」

□まずまずじゃ。

■「でもそれは移動平均線と現在の価格の関係で出てくる話ですよね。今回のような二本の線(短期の移動平均線と中・長期の移動平均線)のクロスは一体なにを見極めるためにあるんですか?」

□ナイス質問! 

□では、ムサシ君にあらためて聞くぞ。移動平均線の役割はもうひとつあったな。「その期間の投資家の平均的買値(または平均的売値)と現在の価格を比較する」という役割以外にもうひとつ。

■「あ、ありました。えーと・・・そうそう、『価格の動きをなめらかにする』という役割が。」

□そゆこと。つまり短期線(例、5日線)は、別に、その線と価格のクロスを見てどうこうしようという線ではない。下の図を見てごらん、5日線と価格はクロスしまくっている。こんなの見ても参考にはならん。この短期線は価格のでこぼこした動きをなめらかにするという役割を果たしているのだよ。


※図参照、5日(移動平均)線はその線と価格のクロスを見る線ではなく、価格の動きを平滑化する線である。

■「あ、・・・・なるほど。」

□20日移動と価格のクロスでゴールデンクロス・デッドクロスを判定しようとしても、その価格がでこぼこしていては、クロスしたと思えば戻し、またクロスしたかと思ったらまた戻して、なんてことになり正しい分析なんぞ出来やしない。

■「確かに左の図ではクロスした場所がわかりづらいですね。」

□だからでこぼこを修正したなめらかな線と20日線とのクロスを探すのじゃよ。「騙し」を減らすためにね。

■「なるほどなるほど。つまり短期線(例、5日線)は価格の動きの代用品なのですね。」

□そのとおり、しかもただの代用品ではない。分析を正しくするために用意されたスペシャル助っ人なのだ。

■「昔阪神タイガースにいたランディ・バースみたいな存在と・・・。」

□古すぎて誰もわからないぞ。(汗;)