【前週のレビュー】ニューヨーク原油4月限ははさらに底割れして、期近つなぎ足ベー スではほぼ2年振りの安値水準となった。今後は70ドルの節目が上値抵抗となる可能 性が高く、65ドルの節目、そして全値押しとなる一代安値の63.61ドルが次の下 値目標となるとした。 【NY原油5月限は65ドルを支持に反発も底入れ感はなし】 ニューヨーク原油4月限は結局、65ドルの節目を割り込んでいないが、20日に納 会するため、今後は5月限が指標限月となる。その5月限は4月限より約30セント下 ザヤで推移しており、ここまでの安値は5日の64.85ドル。11日には65.00 ドルちょうどの安値があり、ダブルボトムの様相となっているが、ただ13日にネック ラインの67.84ドルを抜けずに反落したことで、まだチャートは安値もみ合いの域 を出ておらず、底割れの可能性も残っている。仮に前述の安値を割り込んだ場合、一代 安値の63.73ドルが下値目標となろう。本稿執筆時の14日午後には66ドル台後半 で推移している。 材料的には、トランプ政権が仕掛けた報復関税合戦が今後の貿易摩擦、需要減退懸念 を引き起こして、原油相場にも暗い影を落としている。後述するように、国際エネルギ ー機関(IEA)が月報で供給過剰見通しを示すなど、需給見通しもより弱気なもの変 化してきた。 前回の当欄で記したように、米国の最大の原油輸入元はカナダだが、そのカナダのウ ィルキンソン・エネルギー天然資源相が11日、「事態が悪化すれば、米国に対する原 油輸出の制限といった関税以外の措置を講じる可能性がある」と述べた。カナダはすで にアジア向けの原油輸出を拡大する意向との観測も出ている。 一方、これに対して米国の反応としては、ライト・エネルギー長官が10日、4月に カナダ産原油に対する関税を免除する可能性があるという認識を示した。 また石油業界も危機感を強めており、米国石油協会(API)によると、17日から の週に米国の石油生産業者幹部がトランプ大統領に面会するという。それを受けたトラ ンプ大統領の反応に注意したい。 ウクライナとロシアの一時停戦期待が浮上しているのも弱材料。ウクライナによるロ シアのエネルギー施設攻撃で、ロシアの原油や石油製品の供給に問題が生じているもの の、現時点ではほとんど買い材料になっていない。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は完全に崩れてしまった。さらに下落 して4万ドル台に突入している。目先は4万ドル台を維持できるのか否かが焦点となっ ている。 ドルインデックスは3月に入ってからの急落も103ポイント台を割り込まずに下げ 渋り模様となり、直近はやや戻している。 【今年世界石油需要の日量60万バレルの供給過剰=IEA月報】 発表物では、12日の石油輸出国機構(OPEC)の月報では、今年、来年ともに世 界の石油需要の伸びが前月から据え置きとなり、それぞれ日量145万バレル、同 143万バレルとなった。 また13日の国際エネルギー機関(IEA)の月報では、今年の世界の石油需要の伸 びが同100万バレルと、前月の同110万バレルから下方修正された。また同60万 バレルの供給過剰となる見込みで、OPECプラスの増産が計画通り実行されると、さ らに同40万バレル過剰となる可能性があるという。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である8月限は結局、6万円台を割り込みまずに下降中のボリンジ ャーバンドのー2シグマ(5万9910万円辺り)から−1シグマ(6万2470円辺 り)へ戻す展開。ただ上げ幅は大きくなく、底入れ感はない。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル】 ニューヨーク原油5月限は65ドルの節目に支持される形で上昇して、下降中のボリ ンジャーバンドのー1シグマ(66.65ドル辺り)に近辺まで戻している。 ブレント原油5月限も同様の反発となり、70ドルの節目やそれに近いボリンジャー バンドのー1シグマ(70.20ドル辺り)を挟んだ値動きとなっている。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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