【前週のレビュー】ニューヨーク原油5月限は64.85ドル、65.00ドルちょう どの安値でダブルボトムの様相となっているが、まだ安値もみ合いの域を出ておらず、 底割れの可能性も残っているとした。 【NY原油5月限は戻り基調】 ニューヨーク原油5月限は前述のダブルボトムを割り込むことなく戻す展開。ここま での高値は18日の68.50ドル。20日も68.41ドルまで上昇したが、わずか に高値には届かなかった。本稿執筆時の21日午後時点では68ドル台前半で推移して いるが、ここまでの高値は68.65ドルとすでに18日り戻り高値を更新している。 チャート上は、1月15日の高値76.57ドルから3月5日の安値64.85ドル までの下げ幅の23.6%戻しの67.62ドルをすでに上回っていることで、次は 38.2%戻しの69.33ドル、69.33ドルを上回ると、70ドルの節目、そし て半値戻しの70.71ドルが次の上値目標となる。 材料的には、報復関税合戦による貿易摩擦、需要減退懸念は継続しているが、イスラ エルのガザ攻撃の再開や、米国のイエメンのフーシ波に対する大規模な攻撃、さらには 米国のイランに対する新たな制裁の発表など、再び中東地域の地政学的リスクが支援材 料として浮上している。 とくにイラン制裁は直接的に原油の供給に影響するため、原油市場に対するインパク トが大きくなる。とくに今回は取引先も制裁の対象になるのが特徴で、イラン原油の最 大の輸入国である中国の石油産業もターゲットとなっている。 事実、直近では山東省の山東寿光魯清石化という製油所が制裁対象になったことが報 じられている。中国の反発は必至の状況で、現在停止している中国の米国産液化天然ガ ス(LNG)輸入にも影響しそうだ。 産油国側のニュースとしては、石油輸出国機構(OPEC)プラスが20日、これま での合意水準を超えて生産された超過分を相殺するため、7カ国が追加減産を行うとい う計画を発表した。 これは4月から実施される予定の増産幅の日量13万8000バレルを上回ってお り、実質的にはさらなる減産を意味する。減産幅は同18万9000〜43万5000 バレルで、2026年6月まで継続される予定。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は高値から崩れてきたが、ひとまず4 万1000ドル台割れに下値抵抗を見せて、直近はやや戻す展開となっている。 ドルインデックスは3月に入ってからの急落もダブルボトムを付ける形で、103ポ イント台後半まで戻している。 【米国のカナダ産原油輸入、すでに減少=IEA週報】 トランプ政権が仕掛けた報復関税合戦の影響が実際の数字に出て来た。 米エネルギー情報局(EIA)の週報によると、14日までの週のカナダからの原油 輸入は日量54万1000バレル減の同310万バレルと、2023年3月以来の低水 準だった。 原油は「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」対象の製品で、4月2日まで 25%関税を免除されているものの、すでに数値に影響が表れている。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である8月限は戻り基調を継続して、21日移動平均線でもあるボ リンジャーバンドの中心線(6万4290万円辺り)を上回り、6万5000円の節目 を試す展開となってきた。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル】 ニューヨーク原油5月限はボリンジャーバンドのー1シグマ(66.13ドル辺り) とボリンジャーバンドの中心線(67.20ドル辺り)間のもみ合いとなっていたが、 20日は中心線を上回って引けた。 ブレント原油5月限も同様の展開。ボリンジャーバンドのー1シグマ(69.73ド ル辺り)とボリンジャーバンドの中心線(71.51ドル辺り)間のもみ合いとなって いたが、20日は中心線を上回って引けた。。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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