週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比4.38ドル安の64.07ドル、ブレント原油は3.94ドル安の66.79ドルとなった。

 前週末の13日は下落した。IEAはデルタ株の感染拡大により7月以降原油需要が低下すると指摘した。また、ゴールドマンサックス等も供給不足が縮小するとのコメントを出したようだ。

 先週も弱気相場が続いた。16日は続落。中国の鉱工業生産と小売売上高の伸びが鈍化し、水害やコロナ感染拡大の懸念を強めた。また中国の石油精製が2020年5月以来の低水準だったこともあり、売りが優勢となった。翌17日も続落。日本の新型コロナウイルス感染拡大、緊急事態宣言の延長や地域拡大、ニュージーランドでも感染者は少ないもののロックダウンを発表したことなど、需要の不透明感から手じまい売りが優勢となった。翌18日も続落した。引き続き新型コロナウイルス感染者が世界的に増加していることが懸念となった。米国時間に発表されたEIA統計では原油在庫の減少は示されはしたものの、米国の産油量が上向いていることやOPECが月40万Bの減産縮小に動いていることもあり、需給が緩むことが懸念されたようだ。翌19日も続落。新型コロナによる需要懸念に加えて、FRBが量的緩和縮小を開始する懸念からドル高進行し原油も手じまい売りに押された。週末20日も続落となりそうな上値重い展開が、株式の下落とともに続いている。



 目先上値重い展開が想定される。テクニカルの悪化、米国テーパリング開始に対する警戒、新型コロナによる需給状況に対する不安など、目先という点では急回復は望みにくい材料がそろっているように思われる。実際には原油在庫の取り崩しが続いており、OPECの予定外の増産リスクも実際の需給が緩いとも思わないが、長期にわたり一方的な上昇を続けてきただけに、投機筋のポジション調整も大きなものになる可能性があり注意したい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。