雇用統計を受けた金相場見通し

著者:菊川 弘之
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 8月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比23万5000人増と、過去7ヶ月で最も少ない増加にとどまり、事前の市場予想も大幅に下回った。小売業が減り、ここ数ヶ月回復が続いたレジャー・宿泊業は横ばいにとどまった。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大が米雇用回復に悪影響を及ぼし、鈍化しているとの懸念につながった。

 一部のFOMCメンバーからは9月FOMCで資産購入ペース縮小を開始し、来年第1四半期までには資産購入を終了すべきとのタカ派な声も出ていたものの、ADPに続き、米雇用統計も弱気な内容となったことで、FRBが年内にも開始するとみられていたテーパリング(量的金融緩和の縮小)を急がず、米景気動向を慎重に見極めるとの見方が広がり、ドル売り・金買いで反応した。

 欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を早期に縮小するとの観測によるユーロ買いもドル売り要因に。ドル売りの動きに加えて、8月のユーロ圏消費者物価指数の上振れなどがユーロ買いにつながっているが、9日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会で、新型コロナウイルス対策で導入されたパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模縮小が議論されるとの見方も広がっている。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券主席アナリスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。
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