OPECの減産参加国(11カ国)、さらなる努力が必要な国は…

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数が堅調に推移したことなどで。52.64ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1513.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年1月限は11625元/トン近辺で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。9月限は412.2元/バレル近辺で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで648.5ドル(前日比6.5ドル拡大)、円建てで2158円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(8月9日16時45分頃 先限)
 5104円/g 白金 2946円/g 原油 35270円/kl
ゴム 169.4円/kg とうもろこし 23830円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPECの減産参加国(11カ国)、さらなる努力が必要な国は…」

前回は「米国の原油生産量、今後は減少傾向に向かう!?」として、米エネルギー省(EIA)が毎月公表する短期見通し(STEO)内の原油生産量の見通しと実績値の差に注目しました。

今回は、「減産参加国(11カ国)、さらなる努力が必要な国は…」として、再度、前々回まで数回に渡り注目してきた、海外主要メディアが今月初旬に公表したOPECの原油生産量のデータに注目します。

以下のグラフは、OPEC14カ国のうち、減産に参加している11カ国の、2019年1月と7月の原油生産量の増減幅を示しています。

値がマイナスの場合、7月の生産量が1月の生産量よりも少なかった、プラスの場合、7月が1月よりも多かったことを意味します。

以前の「サウジの孤軍奮闘=OPECの足並みの乱れ」で書いたとおり、減産参加国11カ国の同期間の原油生産量の増減幅の合計は、日量75万バレルの減少でした。

以下のグラフからも分かるとおり、サウジの減少分が60万バレルであるため、残りの減産参加国10カ国の減少分の合計は15万バレルです。

10カ国のうち、アンゴラやイラクのように減少した国もあれば、コンゴ、ガボン、エクアドルのように増加した国もあります。

このため、サウジを除いた10カ国の現有生産の合計は、以前の「サウジを除いた減産参加国10カ国は、減産に消極的」のとおり、1月以降、ほぼ横ばいの状態が続いています。

“サウジ一国頼み”の状態は、サウジに何かあった場合に原油の供給が大きく不安定化する要因になります。

また、このような状態は、減産に対する姿勢の温度感に差が生じていること、つまり、減産参加国の足並みに乱れが生じていることを示唆しています。

今後、減産参加国10カ国の原油生産量が減少することが、OPECプラス全体の体制強化に不可欠であると筆者は考えています。

図:減産参加国11カ国の原油生産量の増減幅(2019年7月-1月)
単位:千バレル/日量
減産参加国11カ国の原油生産量の増減幅

出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。