週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比7.87ドル安の67.75ドル、ブレント原油は9.04ドル安の70.84ドルとなった。

 前週末26日は大幅下落した。南アフリカで新型コロナウィルスの変異株オミクロン株が確認されたことで株式市場も大幅に下落し原油においては10ドル前後の大幅下落となり今年最大の下げ幅を記録した。

 先週も反発局面はあったものの上値重い推移が続いた。週明け29日は反発した。前日の下げ幅が大きかったことで押し目買いが入り戻したが、高値からは売られた。翌30日は反落した。モデルナのトップがオミクロン株に対する現行ワクチンの有効性が低いとコメントしたことから主要国で流行した際に需要が大幅低下するとの懸念となり大幅に下落した。翌1日は続落となった。引き続きコロナウィルス変異株への懸念が上値を抑えた。米国EIAの週報では原油が‐90万、ガソリンが+402万、留出油が+216万と原油のみ取り崩された。米原油生産は1160万Bと増加し、クッシング州の在庫も+115万と増加し圧迫材料となったようだ。翌2日は反発した。OPECプラスのの会合で1月の生産が引き続き40万Bずつの増産を維持するとし、大幅に売られる局面もあったが、米投資銀行の強気コメントが出たことや短期的な売られすぎ感、もしくは材料出尽くしからかプラスサイドまで値を戻す荒い相場となった。また、原油の下落が続くようだと米SPRの放出を後ずれさせるとのコメントが決め手となった可能性もあるようだ。週末3日は前日の安値からの反発の流れを引き継ぎ上昇推移ではあるが、2ドル高程度からはやや失速して推移している。



 主要国の備蓄放出に加えて、新型コロナ新株への懸念が投資家の投げ売りに拍車をかけたようだ。同ウィルスの今後の行方等はわかりかねるものの、短期的に行き過ぎた懸念との見方が勝るか、戻り待ちの売りが勝るかの状況になっているように思われる。短期的な下落幅の相応のため多少の戻しはあるのだろうが、上昇一服後は再度安値を試す恐れもあり臨機応変に対応する必要がある。GSやモルガン等の投資銀行系の強気な見方もあるようだが、上値を追う材料は現時点では少ないと思われる。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。