FOMC(インフレ対策に軸を移行)を受けた金相場見通し

著者:菊川 弘之
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 今週は日・米・欧・英の金融政策が集中する週であった。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)ではゼロ金利政策の維持を決め、短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を0~0.25%に据え置いた一方、米国債などの資産を購入する量的緩和縮小(テーパリング)の加速を決めた。

 NY金(2月限)は、FOMCでのテーパリング加速を嫌気するも、押し目は買われ長い下ヒゲを形成した。8月安値を起点とした上昇チャネルは継続。昨晩は、米政権が、中国の生体情報を使った監視技術を用いて少数民族と宗教的少数派を追跡・弾圧している機関を輸出禁止対象の「エンティティーリスト」に追加し、ドル安で反応したことが支援要因となり急反発となった。北京オリンピックの外交ボイコットに続き、米中の緊張感の高まりが意識された。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)に続いて、英イングランド銀行(中銀)は、3年4カ月ぶりに政策金利を引き上げ、欧州中央銀行(ECB)も、新型コロナウイルス対策として導入した緊急の資産購入策を22年3月で終了することを決定した。これまで「インフレは一時的」としていたFRBを始め、主要中央銀行がインフレ抑制姿勢に舵を切った格好だ。

 エネルギー価格だけでなく、非鉄・穀物市場の上昇も続いており、物価上昇は長期化しそうだ。今後、インフレが本格化してくるなら、金の強気シナリオが意識されやすいスタグフレーションリスクも浮上してくるだろう。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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