[Vol.1145] 超長期的には銀が面白いか

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。72.82ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,809.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,455元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年02月限は472.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで853.05ドル(前日比13.55ドル拡大)、円建てで3,121円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月27日 16時50分頃 6番限)
6,645円/g 白金 3,524円/g ゴム(まだ出来ず) とうもろこし 40,040円/t

●NY銀先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「超長期的には銀が面白いか」

前回は、「2022年の金と銀の個別材料を確認」として、2022年に想定される、金と銀の個別の材料について、述べました。

今回は、「超長期的には銀が面白いか」として、長期視点で銀(シルバー)を保有する妙味について、筆者の考えを述べます。

「脱炭素」が長期視点で、銀の「太陽光パネル向け需要」を増加させる可能性があるため、2030年や2050年という、超長期を想定し、2022年から積立投資を始めるのも一計だと、筆者は考えています。

銀が太陽電池の電極部分向けに使われていることは、Silver Instituteの統計で確認できますが、統計内で「Photo-Voltaic(太陽電池)」の記載が確認できるようになったのは、実はごく最近のことです。

2014年以前の統計にはまだその記載がありません。当時は、注目すべき需要とみなされておらず、「産業利用」の一部という扱いでした。

2015年の統計で初めて記載された時、デジタルカメラの台頭などで需要が急減した、写真のフィルム向け需要(2014年時点で1,419トン)にとって代わる、銀の重要な需要の一角として、太陽電池向け(同1,862トン)が躍進したことが明らかになりました。

太陽電池向けの銀需要の増加は目覚ましく、2020年までの10年間でおよそ2倍、銀の全需要に占める太陽電池向けのシェアは約10%にまで成長しました。

[Vol.1140] 2022年とは?」で述べたとおり、筆者は、2020年は「脱炭素」元年だと、考えています。

パリ協定で約束した、各国の温室効果ガスの削減目標の期限は、2030年から2050年くらい、国連で策定された持続可能な開発目標「SDGs」は、2030年を期限としていることを考えれば、「脱炭素」のゴールは、数十年先になる可能性があります。

このため、再生可能エネルギーを創出する太陽電池需要は、数十年にわたり増加し続け、それに伴い、銀の需要増加、そして価格上昇も、数十年続くかもしれません。

図:銀の太陽電池向け需要とシェア


出所:Silver Instituteのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。