FOMCを受けた金相場見通し

著者:菊川 弘之
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 米連邦公開市場委員会(FOMC)では3月の利上げが示唆され、量的緩和の縮小(テーパリング)を終了し、債券保有を縮小するとの見通しも示された。FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長が「すべての会合での利上げの可能性を排除しない」と述べ、FOMC後は米国債の利回り上昇やドル高を受けて、NY金は一段安となった。

 パウエル議長は、労働需給の逼迫は「これまで見たことがないレベル」と強調。賃金インフレを警戒し「労働市場を損ねることなく利上げは可能」と指摘した。

 米国経済は総じて底堅く推移しているものの、生計費の急速な上昇で家計のセンチメントの停滞感が強まっており、40年ぶりのインフレと史上最大の金融緩和状態は共存し得ない。

 インフレの抑制に関してバイデン政権は、これまで原油の国家備蓄放出やサプライチェーンの混乱への対応策などを打ち出してきたが、今のところインフレ抑制に十分な効果を上げているとは言い難い。昨晩のNY金は、ここ最近、上げ足を強めていたこともあり、米金利上昇を嫌気して調整安となったが、地政学リスクの高まりもあり、下値は限定的となっている。株価の上昇と共に金利が上昇する「良い金利上昇」となるなら、金は続落となるだろうが、株価下落を伴う「悪い金利上昇」となるなら、金の押し目は買い直される。

 内外共に株価が大きく崩れており、損失的な補填売りはあったとしても、金の下値は限定的だろう。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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