FOMCを受けた金相場見通し

著者:菊川 弘之
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 米長期金利上昇にも関わらず、金の下値を支えているのが、「地政学リスク」の高まり。

 1月27日午前8時頃、北朝鮮東部の咸興(ハムフン)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイルとみられる2発が発射された。

 1月19日に北朝鮮の首都・平壌で金正恩・朝鮮労働党総書記の司会で行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第6回政治局会議で、現在の朝鮮半島周辺の情勢と一連の国際問題に対する分析報告を聴取し、今後の対米対応方向を討議した。

 金正恩氏は、バイデン政権がトランプ前政権の米朝首脳会談以降の対話路線を完全に放棄し、北朝鮮に対する敵対政策に転換したと認識している。北朝鮮の認識では、米国が武力を用いて金正恩体制を転覆する可能性があると考えている。

 政治局会議では、<われわれが先決的に、主動的に講じた信頼構築措置を全面再考し、暫定的に中止していた全ての活動を再稼動させる問題を迅速に検討することに対する指示を当該部門に与えた>との決定がなされたが、これは北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験と核実験を再開することを示唆するもの。まず、ICBMの発射実験を行い、米国が北朝鮮との対話に乗り出すかを見定める。米国が対話に応じない場合は核実験に踏み切る可能性は大きい。レイムダッグ化・弱体化したバイデン政権・米国を試すような動きが、ロシア・中国・イランなど世界各地で噴出するだろう。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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