週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.12ドル高の87.11ドル、ブレント原油は2.81ドル高の89.76ドルとなった。

 前週末の海外原油は続落。前日に引き続き米原油在庫の増加が嫌気されたほか、短期的な過熱感から利食い売りが入り軟調な推移となった。

 先週に入り、月曜日はFOMCを控える中でNYダウが一時1000ドル安まで下落するなどリスク回避ムードが強まる中で原油もつれ安となった。一時は押し目を買われる形で下げ幅を縮小したものの、買い一巡後は再度売りが強まりと上値重い推移となった。25日は一転して大幅高となる。ウクライナやアラブの地政学リスクが高まっていることが支えとなったほか、OPECプラスの一部加盟国が設備投資不足により増産に苦慮していると伝わっていることも材料視され上値を切り上げた。26日も買いは続き、中東やウクライナをめぐる地政学リスクが意識される中で堅調に推移、一方でパウエルFRB議長のタカ派な姿勢を受けてリスクオフムードが強まり、ドル高・株安進行したことが重しとなって上げ幅を削る展開となった。翌27日は反落。情勢に大きな変化はなく地政学リスクは残るものの、短期的な買われすぎ感から利食い売りに押され、また米利上げ観測の高まりを受けたドル高進行がマーケットの重しとなった。



 今週の原油相場は、もち合い~上値を伸ばす展開となりそうか。材料的にはウクライナ情勢がさらに緊迫化していることが支援材料となっており、ロシアによるウクライナ侵攻懸念が目先は大きなポイントになっている。また来週は、2日のOPECプラス会合に注目だが、ポジティブ及びネガティブサプライズは現時点では想定されていない。FOMCを受けてのドル高・株安展開にもかかわらず原油は上値を伸ばしており、短期での買われすぎ感から調整が入る可能性はあるものの、大きくは売られにくいと思われ、上目線は外せないであろう。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。