週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比9.99ドル高の106.95ドル、ブレント原油は10.17ドル高の111.70ドルとなった。

 前週末の原油相場は上昇。主要消費国の石油備蓄放出による売りが一巡すると、ドル高が一服したことや、経済制裁でロシア産原油の供給が激減するとみられていることなどが支えとなり堅調に推移した。

 週明け月曜日は反落。ロックダウンが行われている中国での石油需要減少やIEA加盟国による過去最大規模の石油備蓄放出が重しとなる中で軟調な推移となった。上海市でのロックダウンの影響として、中国全体の石油需要は最大で日量130万B減少するとの試算が出ている模様。12日は一転して大幅反発となる。中国上海市でロックダウンが緩和されたことが好感されたほか、ロシアの石油生産量日量976万Bと昨年7月以来の低水準まで落ち込んでいると伝わったことが支援材料となり値位置を切り上げることとなった。また、EIA月報において4月以降の石油需要見通しが上方修正されたことも支えとなった。翌13日も続伸。ロシアとウクライナの停戦交渉が難航しているほか、ロシアを支援しているとみられる中国に対し、欧米諸国が資産差し押さえなどの制裁を開始するとの警戒感が高まったことも支援材料となり大幅に続伸した。14日も強基調が続き、ウクライナ軍がロシアの民間施設を攻撃したと報じられ、プーチン大統領がウクライナ軍の攻撃が続けばキーウを再攻撃すると警告したことから警戒感が高まり値を伸ばした。また、EUがロシア産石油の段階的な禁輸を検討していると伝わったことも支えとなり、供給混乱への警戒感から底堅い推移となった。



 今週の原油相場は引き続き底堅い動きとなりそうか。材料的には、ロシアのウクライナに対する軍事攻撃が続くなか、ロシア産エネルギーの世界的な制裁にともなう原油の供給懸念が現在のマーケットを支えており、中国の新型コロナウイルス感染拡大など下押し材料ではあるものの、現状では前者が優勢の商況だ。テクニカル面では、今週の三連騰を受けた上昇ピッチの速さから調整売りが入る可能性はあるものの、WTIで110ドル~115ドルが目先のターゲットとなりそうだ。また、ドル高/円安の進行も国内マーケットのプラス要因となり、直近のドルインデックスの堅調さから、TOCOM価格は押し上げられそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。