ゴールデンウィークの波乱に備えたい(NY金・ドル円)

著者:菊川 弘之
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 足元は日米の金融政策の違いから円安ドル高が進行しているが、「事業年度の決算等」で、債券の評価損リスクが意識されると、円売りテーマが「金利差」から「日本売り」へ変化する可能性もあるだろう。インフレが進行してくると、「先進国では世界一の借金大国」(対GDP債務)の日本に、投機筋の注目が集まるだろう。借金が大きいと支払金利が急増し、デフォルト(債務不履行)リスクを連想するからだ。

 21年度上期の日銀の保有長期国債の平均利回りは0.226%。あとほんの少し長期金利が上昇すれば評価損が発生する。発行国債の半分もの膨大な量の国債を保有しており、評価損の額も膨大になる。3月期末に3日間連続で「指し値オペ(0.25%で無制限に買い入れる市場操作)」を発動し、4月21~26日にも実施するのは、保有国債の評価損を避けるための防衛戦だろう。日銀が金融引き締めをすると、日銀自身が債務超過に陥ってしまう。債務超過は中央銀行の信用失墜の最たるものであり、そのような中央銀行が発行する通貨は暴落し、中央銀行の信用失墜で起こるハイパーインフレに進む。

 「ドル建て金の上昇」と「円安」の追い風を受けることで、「円建て金」を資産として保有する優位性が、ますます意識されてきそうだ。「海外金高」が「円高」で相殺された90年代の真逆の動きで、「円建て金」の相対的な割安感が調整されていく流れが続きそうだ。

 ドル円は、130円を上抜けてくると、2002年1月に付けた135.1円が意識される。Gannスクエア(カーディナル・マップ)では、133円が節目となっている。2000年以降のドル円の年間レンジの最大値幅を今年の安値に加えると136.73円が上値目標となる。

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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