原油、上値リスク高い

著者:菊川 弘之
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 バイデン米大統領が6月中に、サウジを訪問。ムハンマド皇太子に加え、エジプト、ヨルダン、イラク、アラブ首長国連邦(UAE)の首脳らと会談する方向で調整を進めていると報じられたが、前週末に「6月末の湾岸協力会議(GCC)への参加について、直接的な計画はないが、その時期に中東地域を訪問する可能性はある」と記者団に語り、中東歴訪について、トーンダウンさせている。一部報道では、7月に延期との報道も出ている。

 トランプ大統領時代と異なり、バイデン政権になって以降、米国とアラブ諸国の関係は冷え込んでいる。人権を重視するバイデン政権は昨年、2018年に起きたサウジ人記者殺害事件に皇太子が関与したと認定する報告書を公表した。これに反発したサウジと米国の関係は悪化した状態が続いており、欧米の増産要請にOPECが協力しない一因にもなっている。

 NY原油(7月限)は、「OPECプラス」が増産拡大を決めたが、実質的な供給量が拡大しないことや、EIA週間在庫統計で、原油やガソリン、留出油在庫が減少したことで反発。

 コロナショック後の協調減産の終了は、9月から8月に前倒しとなったが、ロシアの生産量が日量100万バレル以上減っていると思われ、欧州連合(EU)がロシア産石油の輸入停止で一段の供給減から、OPECプラスの増産では補えないとの見方が強い。

 米エネルギー情報局(EIA)週報では、石油製品需要は日量1951万2000バレルと、高値が依然として消費を圧迫しているものの、需要が低迷するなかでも在庫の取り崩しが続いている。製油所稼働率は前回の93.2%から92.6%まで低下。 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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