[Vol.1254] 原油・石油株の高止まりは続く

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。120.75ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,847.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は13,440元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年07月限は767.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで880.35ドル(前日比1ドル縮小)、円建てで3,882円(前日比74円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月10日 12時25分頃 6番限)
7,923円/g
白金 4,041円/g
ゴム 264.2円/kg
とうもろこし 55,850円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油・石油株の高止まりは続く」

前回は、「ロシアの弱点は「量」ではなく「価格」」として、ウクライナで蛮行を続けるロシアの弱点について、筆者の考えを述べました。

今回は、「原油・石油株の高止まりは続く」として、今後の原油相場の方向性について、筆者の考えを述べます。

前回、ロシアの弱点は「原油価格が急落すること」だと述べました。ではどのようにすれば、原油相場を急落させることができるのでしょうか。複数の方法を同時進行させる必要があります。また、各種方法を遂行するにあたり、複数のハードルを越える必要があります(決して簡単な道のりではない)。

以下の図のとおり、需給バランスを供給過剰にするために必要な策の一つ「原油供給を短期的に急増させる」は、産油国に頼らざるを得ず、難易度は高いと言えます。図内に記したとおり、今、米国、サウジ、ロシア、その他産油国に大増産を求めることは難しいでしょう。

それであれば、「原油需要を短期的に急減させる」策を推進することになります。産油国との関係が悪化することや、生活の水準が下がることを覚悟し、それらを受け入れ、原油需要を急減させることができれば、「原油価格急落」→「ロシアの国力低下」→「ウクライナ危機終焉」というシナリオが現実味を帯びます。

ロシアとの戦いは、実は、消費国に住む一人一人の、自分自身との戦いなのかもしれません。ロシアは消費国の個人にそうした覚悟がないと見透かし、蛮行を続けているのかもしれません。われわれ消費国に住む個人が、そうした覚悟に目覚めるまでは、ロシアの蛮行は続き、原油相場が高い状況が続く可能性があると、筆者はみています。

図:原油相場を急落させる方法(筆者イメージ)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。