[Vol.1258] 人:感情を「不安」と「充足」に分けて考える

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。116.67ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,837.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,835元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年07月限は762.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで899.2ドル(前日比14.75ドル拡大)、円建てで3,896円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月16日 9時9分頃 6番限)
7,865円/g
白金 3,969円/g
ゴム 253.8円/kg
とうもろこし -円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「人:感情を「不安」と「充足」に分けて考える」

前回は、「市場:20年間で激変した市場環境」として、「不安」抜きで金(ゴールド)市場を分析するために必要な「多角的な視点」に関連し、「市場」の側面から金市場を観察しました。

今回は、「人:感情を「不安」と「充足」に分けて考える」として、「人」の側面から金市場を観察します。

人(ヒト)はどのような存在でしょうか。「感情、学習能力、言葉、各種概念・技術を持つ猿人(えんじん)」だと、筆者は考えています(さまざまな特徴があるものの、結局は生身の生き物)。そして感情は、人の行動を決定する重要な要素です。

以下の図のとおり、「不安」と「充足」は、人の行動を決定づける要素である「感情」の中でも極めて重要な役割を担っています。何か物事を決めるとき、人は多くの場面で無意識に、不安解消のため、不安に押されて、あるいは充足を目指し、充足に乗じて、判断しています。

例えば「喜怒哀楽」という四字熟語があります。人の感情のプラス面とマイナス面をカバーする言葉ですが、「不安」は怒と哀、「充足」は喜と楽で構成されていると考えると、イメージが深まるでしょう。

これらより言えることは、行動原理は「不安」だけではない、ということです。ことさら、金(ゴールド)は、世界が不安に包まれている時に価格が上がることがあるため、金(ゴールド)を買うときは「不安」が高まっている時だ、などという発言を耳にします。

しかし、「金(ゴールド)=不安」がカバーする範囲は金(ゴールド)市場の一部分です。残り多くは「充足」がカバーします。市場関係者は今すぐに、「充足」も金(ゴールド)を買う動機になり得ることを、認識しなければなりません。

図:人の感情と行動


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。