[Vol.1257] 市場:20年間で激変した市場環境

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。119.12ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,816.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は12,895元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年07月限は762.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで897.75ドル(前日比4.1ドル縮小)、円建てで3,889円(前日比9円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月15日 10時32分頃 6番限)
7,850円/g
白金 3,961円/g
ゴム 255.1円/kg
とうもろこし 55,750円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「市場:20年間で激変した市場環境」

前回は、「時代:脱「なにかあったらどうするんだ症候群」」として、前回述べた、「不安」抜きで金(ゴールド)市場を分析するために必要な「多角的な視点」に関連し、「時代」の側面から金市場を観察しました。

今回は、「市場:20年間で激変した市場環境」として、前々回述べた、「不安」抜きで金(ゴールド)市場を分析するために必要な「多角的な視点」に関連し、「市場」の側面から金市場を観察します。

前回の「時代」に続き、「市場」に着目します。この20年間で、世界中の多くの市場の環境は激変しました。インターネットの普及、金融緩和、技術革新、格差拡大、自然災害・異常気象頻発、パンデミック発生など、それ以前にはみられなかった事象が相次いでいます。

以下のグラフのとおり、この20年間、各種国際商品市場(コモディティ市場)では、「地殻変動」ともいえる、後戻りできないような劇的な変化が起きました。これを「パラダイムシフト(均衡点の劇的な変化)」とよぶ人もいます。

金(ゴールド)においては、2000年代前半にETF(上場投資信託)の登場によって株式市場など他の金融商品との結びつきが強くなりました。また、2009年初頭から目立ち始めた主要中央銀行の資産増加は、通貨としての金(ゴールド)の魅力を相対的に増幅させました。

筆者が否定的にとらえる「金(ゴールド)=不安」は、1970年代半ばから1980年前後(数度のオイルショックや中東戦争、イラン革命など発生時)に生まれたイメージです。諸環境がこの20年間で激変したことを、市場関係者は改めて、心に刻む必要があります。

図:時代背景の変化と主要コモディティ価格の推移 1960年を100として指数化


出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。