週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比6.91ドル安の96.03ドル、ブレント原油は5.69ドル安の99.59ドルとなった。

 前週末の海外原油は好調な米雇用統計を受けて景気後退懸念が後退したほか、ロシア裁判所がCPCパイプラインに対して操業停止命令を出したことで供給不安が高まったことが支えとなり堅調な推移となった。

 先週は各国中銀の利上げにより景気が後退し、石油需要が減少に向かうとの懸念が強まったことが重しとなり軟調な推移となった。週明け11日は景気後退による石油需要の減少が警戒されたほか、中国のゼロコロナ政策で一部地域で再ロックダウンが導入されたことが重しとなり軟調な推移となった。翌12日はドル高・株安進行が重しとなったほか、OPEC月報において2023年の世界石油需要見通しが22年を大幅に下回る見通しだと発表されたことが嫌気された。また、WTIベースで100ドルを割り込んだことでチャートが悪化し、テクニカルな売りが入ったことも弱材料となった。翌13日は前日の急落を受けて買い戻しが入った一方、米消費者物価指数が予想以上に伸びていたことから米利上げの加速が警戒され上げ幅を縮小する展開となった。週末にかけてはFOMCが1.00%の利上げに踏み切るのではとの思惑が強まったことからドル高進行したことが重しとなり上値重い推移となった。

NY原油チャート

 今週の原油相場はWTIベースで90~100ドルのレンジ内での推移が想定されそうか。今週はドル高進行や利上げによる景気悪化により石油需要の減少が警戒されていることが重しとなり、ロシアによるウクライナ侵攻前の水準まで急落する格好となった。今週末にバイデン大統領がサウジアラビアを歴訪し増産を要請する予定となっており、大幅な増産が決定されればさらに下値を試す展開も想定されるものの、サウジやUAEもそれほど生産余力を残していないとの見方から増産は見込みにくそうだ。ここ1か月で30ドル弱下落していることから空売りも相当数入っていると思われ、下値では買い戻しが優勢となりやすく、WTIベースで90ドル付近は底堅い推移となりそうか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。