[Vol.1289] 最悪より「まし」が注目され始めた利上げ動向

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。98.08ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,780.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,125元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年09月限は692.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで883.65ドル(前日比8.35ドル縮小)、円建てで3,710円(前日比21円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月1日 16時37分頃 6番限)
7,481円/g
白金 3,771円/g
ゴム 232.0円/kg
とうもろこし 45,490円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「最悪より「まし」が注目され始めた利上げ動向」

前回は、「主治医ら、目先3カ月強は景気鈍化を示唆」として、主治医とする「ドクター・カッパー」の診断とセカンドオピニオンが示唆する、景気鈍化が継続する期間について、述べました。

今回は、「最悪より「まし」が注目され始めた利上げ動向」として、6月と7月のFOMC前後数日間の、主要銘柄の騰落率を確認します。

7月26日と27日、FRB(米連邦準備制度理事会、米国の中央銀行にあたる)は、FOMC(米連邦公開市場委員会)を開催しました。年に8回行われる定期会合の1つでした。

会合では、政策金利を決定したり、足元の景況感の受け止めや、今後の見通しを示したりします。インフレ(物価高)が進む今、「物価と雇用の安定」を目指す中央銀行の会合に、平時以上に注目が集まっています。

FOMCの声明を受け、株式、通貨、コモディティ(商品)価格は大きく動く場合がありますが、以下のグラフのとおり、6月(左)と7月(右)、会合前後の数日間、各種市場は異なる様相を呈しました。同じ「0.75%の利上げ」決定だったにも関わらず、です。

0.75%の利上げは、「3倍速の利上げ」などと報じられるほど大幅な利上げで、米国では、住宅ローンを組むことをためらう人が増えていると報じられています。

一方、利上げの目的の一つである「インフレ退治」が進む期待も膨らんでいます。利上げをすることで、景気の余分な熱を冷まし、物価が落ち着くことを目指しているのです。(冷まし過ぎは悪影響)

7月、各種市場が強気姿勢を示したのは、一時「1.00%の大幅利上げもあり得る」という話が浮上し、冷まし過ぎによる悪影響が懸念されていた中で、こうした大幅利上げが回避された(最悪の状態よりも「まし」だった)ことが主因だと、考えられます。

図:2022年6月と7月のFOMC前後数日間の騰落率(主要銘柄)
図:2022年6月と7月のFOMC前後数日間の騰落率(主要銘柄)

出所:QUICKのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。