[Vol.1305] 勢い付く、米シェールガスの生産

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。93.45ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,757.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,785元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年10月限は724.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで888.55ドル(前日比0.9ドル拡大)、円建てで3,842円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月24日 12時07分頃 6番限)
7,651円/g
白金 3,809円/g
ゴム 226.3円/kg
とうもろこし 48,110円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY天然ガス先物(期近) 日足  単位:ドル/BTU(英国熱量単位)
NY天然ガス先物(期近) 日足  単位:ドル/BTU(英国熱量単位)

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「勢い付く、米シェールガスの生産」

前回は、「米国のシェールガス・オイルの事情を確認」として、米国のシェール層と生産主要地区の現状と、米国の石油・天然ガス会社であるオクシデンタル・ペトロリアム社の強みを確認しました。

今回は、「勢い付く、米シェールガスの生産」として、米国の天然ガスと原油生産量の推移を確認します。

以下は、米国の天然ガスと原油の生産量の推移です(米国全体とシェール主要地区)。2010年ごろから、シェール革命がはじまり、ともにシェール主要地区の生産量が急増しはじめました。それにともない米国全体の生産量が増加しはじめました。

2014年後半から2016年末にかけて発生した原油相場の急落・低迷「逆オイルショック」の影響で、一時的に生産量が減少する場面があったものの、2017年以降、増加に転じました。その後、2020年春のコロナショックで減少するも、再び増加に転じました。

コロナショック後は、特に天然ガスの生産量増加に勢いがあります。天然ガスの生産量はコロナ前の水準を上回り、現在も顕著な増加傾向が続いています。化石燃料の中でも、比較的、燃焼時に排出される二酸化炭素の量が少ないとされる天然ガスは、「脱炭素」が進む米国で重用される存在です。

原油は電気自動車(EV)の普及が始まったことで、超長期視点の需要減退が意識されはじめている、政策的に原油を使うことを否定するムードがあるなどの影響で、勢いを伴った生産増加が発生するムードはないように感じます(とはいえ、増えないわけではない)。

グラフから分かるとおり、天然ガスの生産量の増減の波は、原油の波に比べて、小さいです。これは、「脱炭素」下でも、一定の強い堅調な需要があるためだと、考えられます。次回以降、天然ガスの需要が堅調であることについて、書きます。

図:米国の天然ガスと原油生産量の推移
図:米国の天然ガスと原油生産量の推移

出所:EIA(米エネルギー情報局)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。