[Vol.1307] 欧州の天然ガス価格高騰はビジネスチャンス

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。93.15ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,763.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,670元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年10月限は740.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで897.1ドル(前日比0.4ドル縮小)、円建てで3,878円(前日比3円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月26日 17時39分頃 6番限)
7,689円/g
白金 3,811円/g
ゴム 226.4円/kg
とうもろこし 48,480円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY天然ガス先物(期近) 日足  単位:ドル/BTU(英国熱量単位)
NY天然ガス先物(期近) 日足  単位:ドル/BTU(英国熱量単位)

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「欧州の天然ガス価格高騰はビジネスチャンス」

前回は、「米国国内の電力事情がガス需要・生産を支える」として、米国の電源構成の推移を確認しました。

今回は、「欧州の天然ガス価格高騰はビジネスチャンス」として、米国の天然ガス(LNG)と原油輸出量の推移を確認します。

前回、米国国内の長期的な電源構成の変化により、今後さらに天然ガスに注目が集まる可能性があると書きました。今回は、米国国外の事情起因で、天然ガスと原油に注目が集まりつつある例を述べます。

ウクライナ危機が勃発したことをきっかけに、制裁を科すため、西側諸国はロシアから天然ガスや原油を買わない方針を打ち出しています。一方、ロシアは天然ガスや原油の出し渋りをするそぶりを見せています。

危機勃発直後から目立っている、こうした「買わない西側・出さないロシア」という図式は、特に欧州での需給のひっ迫度を高め、世界的な天然ガス価格高騰・原油高止まりの主因になっています。

こうした欧州の需給ひっ迫を和らげる策として行われているとみられるのが、米国の欧州向け輸出拡大です。欧州の天然ガス価格が急騰し始めた2021年秋ごろから、EU(欧州連合)諸国向けの天然ガスの輸出が急増しはじめました。

その後、ウクライナ危機が勃発し「買わない西側・出さないロシア」により、需給のひっ迫度がさらに高まったことを受け、EU諸国向けの輸出がさらに増加・高止まりしています。

原油も、ウクライナ危機が勃発し、欧州主要国が「買わない」姿勢を鮮明にした頃から、EU諸国向けの輸出増加が目立ち始めています。

欧州向けの輸出増加は、米国国内で操業する石油・天然ガス会社にとって、大きなビジネスチャンスと言えるでしょう。

図:米国の天然ガス(LNG)と原油輸出量の推移(EU諸国・アジア諸国向け)
図:米国の天然ガス(LNG)と原油輸出量の推移(EU諸国・アジア諸国向け)

出所:EIA(米エネルギー情報局)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。