週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.85ドル高の93.66ドル、ブレント原油は4.63ドル高の105.50ドルとなった。

 前週末の海外原油は米経済指標が軒並み力強い内容だったことが好感された一方、米利上げへの警戒感から株安・ドル高進行するなど、リスクオフムードが強まったことが重しとなり往って来いの展開となった。

 先週は利上げへの警戒感が重しとなった一方、OPECプラスが減産する可能性があると伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。週明けは9月のFOMCにおいても0.75%の大幅利上げが実施されるとの思惑が強まったことからドル安・株高進行したことが重しとなった。一方でサウジエネルギー相が9月のOPECプラス会合において減産する可能性があることを示唆したことが支えとなり安値から切り返すと、翌23日も堅調な推移が続いた。サウジはイラン核合意再建交渉の妥結によって同国が原油供給を再開すれば生産量を調整する必要があるとしたほか、先物市場と現物市場の価格に乖離があると指摘している。翌24日はイラン核合意交渉について、米国側は一段の譲歩に慎重な姿勢を示していると伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。また、EIA統計において原油と製品輸出の合計が過去最高水準を更新したことや、原油在庫が予想以上に減少していたことも好感された。週末にかけてはイランが欧州の提示したイラン核合意の最終文章に対する米政府の意見を受け取ったと明らかにしたことで核合意妥結への期待感が高まったほか、ジャクソンホール会議を控えて米利上げへの警戒感が高まったことからドル高推移したことが重しとなった。 

NY原油チャート

 今週の原油相場は軟調な推移が想定されそうか。強材料としてはOPECプラスが減産に動く可能性があるとの報や、欧州の天然ガスの高騰などがあげられるものの、今月に米国の強い要請を受ける形で小幅増産した経緯を考えると、実際に減産に踏み切る公算は小さく、口先だけの介入に留まるとの見方が強い。また、季節柄北米のドライブシーズンが終了に向かう中でで石油需要が低下傾向にあるほか、イラン核合意の交渉が大詰めを迎えていると報じられていることも重しとなる中で下押し圧力がかかりやすそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。