[Vol.1314] 上限設定の抜け穴1:対象の海上輸送は少ない

著者:吉田 哲
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原油反落。世界的な景気減速懸念などで。86.78ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,721.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,310元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年10月限は703.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで889.35ドル(前日比2.45ドル縮小)、円建てで3,994円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月6日 18時43分頃 6番限)
7,766円/g
白金 3,772円/g
ゴム 216.8円/kg
とうもろこし 49,280円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「上限設定の抜け穴1:対象の海上輸送は少ない」

前回は、「ロシア産原油の価格上限を設定」として、G7で合意したロシア産原油価格上限設定について、述べました。

今回は、「上限設定の抜け穴1:対象の海上輸送は少ない」として、ロシア産原油の通関地域と数量について、述べます。

以下の資料は、ロシア産原油の通関地域と数量などを示しています。ロシア連邦税関庁のデータによれば、2021年、ロシア産原油の18%が海に隣接している地域から、82%がしていない地域から輸出されました(数量ベース)。

ロシア産の多くが今回のG7の策の対象とならない、陸上輸送(パイプラインでの輸送)で運ばれている可能性があります。そもそも、策の設計に抜け穴があるのです。

この抜け穴は、前回述べた「陸上輸送が対象ではない」ことに直接的に関わります。また、「およそ3割を輸入する中国がG7メンバーではない」という点にも関わります。中国の関りについては、次回以降、述べます。

図:ロシア産原油の通関地域と数量(2021年) 単位:千バレル
図:ロシア産原油の通関地域と数量(2021年) 単位:千バレル

出所:ロシア連邦税関庁のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。