[Vol.1315] 抜け穴2-1:中国への輸出拡大を促す可能性あり

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。86.22ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,713.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,260元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年10月限は684.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで871.4ドル(前日比7.6ドル縮小)、円建てで3,997円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月7日 17時01分頃 6番限)
7,849円/g
白金 3,852円/g
ゴム 214.6円/kg
とうもろこし 50,250円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「抜け穴2-1:中国への輸出拡大を促す可能性あり」

前回は、「上限設定の抜け穴1:対象の海上輸送は少ない」として、ロシア産原油の通関地域と数量について、述べました。

今回は、「抜け穴2-1:中国への輸出拡大を促す可能性あり」として、ロシアと中国間の主要な石油パイプラインの位置を確認します。

以下の資料は、ロシアとその周辺主要国にまたがる主要な石油パイプライン(一部)を示しています。

シベリア連邦管区の東西に主要な油田地帯があります。東シベリア堆積盆地には「ベルフネチョン油田」「チャヤンダ油田」などです。西シベリア堆積盆地には「チュメニ油田」があります。

こうしたシベリア東西の主要油田から伸びているパイプラインの先の一つが「中国」です。東のESPO(East Siberia Pacific Ocean)パイプラインは、黒竜江省の大慶(ターチン)、西のパイプラインはカザフスタンを経由してウルムチ、さらには西部の蘭州など、それぞれ中国国内の石油基地につながっています。

「陸上」でこうしたインフラでつながっているロシア・中国の関係に、G7が合意した海上輸送を対象とする規制が大きく影響するとは、考えにくいでしょう。ロシア連邦税関庁のデータによれば、ロシア産原油のおよそ3割強を、中国が輸入しています(2021年)。

図:ロシアと中国間の主要な石油パイプライン
図:ロシアと中国間の主要な石油パイプライン

出所:各種資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。