原油反発。米主要株価指数の反発などで。85.00ドル/バレル近辺で推移。
金反発。ドル指数の反落などで。1,737.65ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は12,380元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年11月限は626.9元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで859.95ドル(前日比6.15ドル拡大)、円建てで3,953円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(9月9日 18時23分頃 6番限)
金 7,860円/g
白金 3,907円/g
ゴム 217.2円/kg
とうもろこし 50,100円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)
●NY原油先物(期近) 日足 単位:ドル/バレル
出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より
●本日のグラフ「抜け穴3:価格を下げると見えてくるリスクあり」
前回は、「抜け穴2-2:中国への輸出拡大を促す可能性あり」として、中国の国別原油輸入単価(筆者推計)を確認しました。
今回は、「抜け穴3:価格を下げると見えてくるリスクあり」として、主要産油国における各種収支が均衡するときの原油価格を確認します。
原油価格が、国際指標価格、G7が設定したロシアの上限価格、ロシアのお友達価格、など「一物多価」状態になったとき、どこに価格が収れんするのでしょうか。G7が設定したロシアの上限価格、ロシアのお友達価格など、人為的に安く設定した価格に近づく可能性があります。
しかし、その価格が今よりも大幅に安くなった場合、西側は思わぬリスクを被る可能性があります。以下は、主要産油国の各種収支が均衡する際の原油価格です。
しばしば「中東の原油は水よりも安い」という話を耳にすることがありますが、それは資料右の「採掘コスト」を指しているとみられます。「1バレルの原油を掘り出すためにかかる費用」です。
ここで注目するのは「採掘コスト」ではなく、産油国の財政収支・経常収支が均衡する(バランスがとれる)ときの原油価格です。IMF(国際通貨基金)のデータによれば、国内の財政の状況を示す財政収支が均衡するのは、サウジアラビアの場合78ドルです。
実際は、バランスがとれただけでは不十分であるため、この価格よりも高い水準が、サウジアラビアにとって好ましい水準と言えます。
西側諸国と比較的関わりが深く、中東と西側をつなぐパイプ役になるサウジアラビアは、政治や、エネルギー安全保障の点からも、重要な国だと言えます。この国の財政収支が良好な状態にあることは、西側諸国にとっても、メリットが大きいと言えるでしょう。
「80ドル以上」。それが現在のサウジアラビアの本音なのではないでしょうか(脱炭素起因で、将来的に原油需要が減少することを懸念している産油国ゆえ、価格が高い分にはいくらでも歓迎か)。
上限が設定され、その価格に倣い、国際指標価格が下落したとき、中東情勢の悪化が、同時進行している可能性があります。中東情勢の悪化によって供給懸念が生じれば、国際指標相場に上昇圧力がかかります。
今回のG7の合意には、「原油相場を下げる」意図も含まれていますが、中東の主要産油国の事情がそれを難しくしている可能性があります。ここにも、合意内容の抜け穴が存在します。
ここまでの5回で、G7の合意に、上限設定策の想定にロシアと陸続きの「中国」が含まれていないこと、安すぎる上限を設定した場合、ロシアと中国が大きなメリットを享受する可能性があること、中東情勢が悪化する可能性があることについて、書きました。
当該策に実効性をもたせるには、少なくとも「陸上輸送(パイプライン輸送)」にも何らかの理由を用いて上限を設定することが必要でしょう(ロシアの原油輸送のメインは、タンカーではなく、パイプラインである可能性がある)。
現時点で、今回の合意内容にどれだけ実効性があるか、疑問を感じています。突き詰めて考えれば、実はG7のリーダーたちが「ロシア制裁の強化」をうたいつつ、「国内のインフレ対策」を同時進行しているという、ポーズの域を越えないのではないか、とさえ感じます。
今回の策が、「ロシアが有利になるための抜け穴」にならないよう、G7は、慎重に上限価格を決め、ぬかりなく、監視していくことが求められます。
図:各種収支が均衡するときの原油価格(2020年) 単位:ドル/バレル
出所:IMF、Rystad Energyのデータをもとに筆者作成
金反発。ドル指数の反落などで。1,737.65ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は12,380元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年11月限は626.9元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで859.95ドル(前日比6.15ドル拡大)、円建てで3,953円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(9月9日 18時23分頃 6番限)
金 7,860円/g
白金 3,907円/g
ゴム 217.2円/kg
とうもろこし 50,100円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)
●NY原油先物(期近) 日足 単位:ドル/バレル
出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より
●本日のグラフ「抜け穴3:価格を下げると見えてくるリスクあり」
前回は、「抜け穴2-2:中国への輸出拡大を促す可能性あり」として、中国の国別原油輸入単価(筆者推計)を確認しました。
今回は、「抜け穴3:価格を下げると見えてくるリスクあり」として、主要産油国における各種収支が均衡するときの原油価格を確認します。
原油価格が、国際指標価格、G7が設定したロシアの上限価格、ロシアのお友達価格、など「一物多価」状態になったとき、どこに価格が収れんするのでしょうか。G7が設定したロシアの上限価格、ロシアのお友達価格など、人為的に安く設定した価格に近づく可能性があります。
しかし、その価格が今よりも大幅に安くなった場合、西側は思わぬリスクを被る可能性があります。以下は、主要産油国の各種収支が均衡する際の原油価格です。
しばしば「中東の原油は水よりも安い」という話を耳にすることがありますが、それは資料右の「採掘コスト」を指しているとみられます。「1バレルの原油を掘り出すためにかかる費用」です。
ここで注目するのは「採掘コスト」ではなく、産油国の財政収支・経常収支が均衡する(バランスがとれる)ときの原油価格です。IMF(国際通貨基金)のデータによれば、国内の財政の状況を示す財政収支が均衡するのは、サウジアラビアの場合78ドルです。
実際は、バランスがとれただけでは不十分であるため、この価格よりも高い水準が、サウジアラビアにとって好ましい水準と言えます。
西側諸国と比較的関わりが深く、中東と西側をつなぐパイプ役になるサウジアラビアは、政治や、エネルギー安全保障の点からも、重要な国だと言えます。この国の財政収支が良好な状態にあることは、西側諸国にとっても、メリットが大きいと言えるでしょう。
「80ドル以上」。それが現在のサウジアラビアの本音なのではないでしょうか(脱炭素起因で、将来的に原油需要が減少することを懸念している産油国ゆえ、価格が高い分にはいくらでも歓迎か)。
上限が設定され、その価格に倣い、国際指標価格が下落したとき、中東情勢の悪化が、同時進行している可能性があります。中東情勢の悪化によって供給懸念が生じれば、国際指標相場に上昇圧力がかかります。
今回のG7の合意には、「原油相場を下げる」意図も含まれていますが、中東の主要産油国の事情がそれを難しくしている可能性があります。ここにも、合意内容の抜け穴が存在します。
ここまでの5回で、G7の合意に、上限設定策の想定にロシアと陸続きの「中国」が含まれていないこと、安すぎる上限を設定した場合、ロシアと中国が大きなメリットを享受する可能性があること、中東情勢が悪化する可能性があることについて、書きました。
当該策に実効性をもたせるには、少なくとも「陸上輸送(パイプライン輸送)」にも何らかの理由を用いて上限を設定することが必要でしょう(ロシアの原油輸送のメインは、タンカーではなく、パイプラインである可能性がある)。
現時点で、今回の合意内容にどれだけ実効性があるか、疑問を感じています。突き詰めて考えれば、実はG7のリーダーたちが「ロシア制裁の強化」をうたいつつ、「国内のインフレ対策」を同時進行しているという、ポーズの域を越えないのではないか、とさえ感じます。
今回の策が、「ロシアが有利になるための抜け穴」にならないよう、G7は、慎重に上限価格を決め、ぬかりなく、監視していくことが求められます。
図:各種収支が均衡するときの原油価格(2020年) 単位:ドル/バレル
出所:IMF、Rystad Energyのデータをもとに筆者作成