[Vol.1326] 原油価格は下がれども、関連個別株は強基調維持

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。78.38ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,646.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は13,085元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年11月限は615.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで789.8ドル(前日比9.3ドル縮小)、円建てで3,693円(前日比11円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月26日 12時18分頃 6番限)
7,570円/g
白金 3,877円/g
ゴム 224.6円/kg
とうもろこし 49,550円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油価格は下がれども、関連個別株は強基調維持」

前回は、「OPECプラスの巧みなアナウンス効果が怪しく光る」として、OPECプラス(減産参加20カ国)の原油生産量と生産量の上限について書きました。

今回は、「原油価格は下がれども、関連個別株は強基調維持」として、主要エネルギー関連銘柄の価格推移ついて、書きます。

足元、原油価格の下落が目立っています。一方、天然ガス価格やエネルギー関連企業の株価は堅調に推移しています。

2022年1月4日と比べると、天然ガス先物(米国)は1.9倍、主に米国で操業する石油・天然ガス関連企業で、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイも保有する「オクシデンタル・ペトロリアム(OXY)」社の株価は1.8倍、日本を代表するエネルギー関連企業の一つ「INPEX(1605)」社の株価は1.5倍、石油メジャー(国際石油資本)の一角を成す「エクソン・モービル(XOM)」の株価は1.3倍です。一方、6月以降下落が目立つ原油先物は1.08倍(年初とほぼ変わらず)です。(9月22日現在)

原油を生産する現場では、原油だけが採取されているわけではありません。随伴ガスとよばれる、副産物として生産されるガスもあります。鉱床によって、原油が多く採れたり、ガスが多く採れたり、さまざまです。

例えば、INPEX(1605)の、2021年12月期の生産量(ネット)は、原油(コンデンセート、LPガス含む)が約34万BOE/日量、天然ガスが約24万BOE/日量でした。(会社資料より。BOEは原油ベースで熱量換算した単位)

エネルギー関連企業の株価動向を考える際、原油相場の動向に注目が集まることがありますが、それと同じくらい、天然ガス相場の動向にも注目することが必要です。原油相場が下落基調にある中で、エネルギー関連企業の株価動向が堅調推移しているのは、天然ガス相場が高騰していることが大きいと言えます。

図:主要エネルギー関連銘柄の価格推移 2022年1月4日を100
図:主要エネルギー関連銘柄の価格推移 2022年1月4日を100

出所:Market SpeedⅡのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。