週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.29ドル高の89.45ドル、ブレント原油は0.71ドル高の94.83ドルとなった。

 前週末は米雇用統計の内容が予想以上に力強い内容だったことから米利上げへの警戒感が高まり、ドル高・株安進行したことが重しとなった一方、引き続きOPECプラス会合において日量200万Bの減産で合意したことや、米国の戦略石油備蓄が急減していることが好感され堅調な推移となった。

 週明け~水曜日にかけては、景気後退による石油需要の減少が警戒されると、上値重い推移となった。また、中国でコロナが再拡大しており、大規模な検査が行われていることも嫌気された模様。さらにはドル高が継続する中、下値での推移となった。先週急ピッチで上昇していたこともあり、調整売り/利食いが入っているようにも見受けられた。木曜日は、それまでの流れから一転、米消費者物価指数は予想以上の伸びとなり米大幅利上げを裏付ける内容となったもののリスクオフムードは強まらず、株高・ドル安進行したことから原油もつれ高となった。また、EIA統計において冬場を前に留出油在庫が減少していたことも好感され、上げ幅を拡大する展開で引けた。

原油チャート

 今週の原油相場は、もみ合い展開が有力か。材料的には、OPECプラス会合での日量200万バレル減産による強気インパクトと、世界的な景気後退・需要減退懸念の綱引きが継続するカタチが想定される。他材料では、ドルインデックスが目先の戻り高値を付けたようにも見え、ドル安進行するようだと原油の支援材料となる一方、米株式は直近戻してはいるものの再び下げればこちらにつられる可能性もある。テクニカル面では、WTIで上値は前回高値の93.64ドル、下値は85ドル付近が目先の焦点となりそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。