[Vol.1343] ケージにはまって抜け出せない西側

著者:吉田 哲
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原油反発。冬場の需要増加観測などで。85.78ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,636.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,375元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年12月限は672.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで755.95ドル(前日比2.85ドル拡大)、円建てで3,722円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月20日 16時56分頃 6番限)
7,839円/g
白金 4,117円/g
ゴム 226.0円/kg
とうもろこし 50,840円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ケージにはまって抜け出せない西側」

前回は、「ホンネとタテマエの間で揺れる欧州主要国」として、EUのエネルギー(石炭、石油、天然ガスなど)輸入額の推移を確認しました。

今回は、「ケージにはまって抜け出せない西側」として、西側とインフレの関係について、筆者の考えを述べます。

前回に続き、「西側の体力低下」が進行している例を述べます。米国を含む西側の多くは、利上げを中心としたインフレ対策(物価高鎮静化策)を講じています。しかしその策が、かえって不安・混乱を助長してしまっている様子が見受けられます。

以下の図のとおり、西側は「インフレの回転ケージ」にはまり、「大衆の不安拡大」→「リーダーの大衆迎合」→「中央銀行利上げ」を繰り返しています。この回転が強くなるにつれて、景気悪化、世界分断、そして、インフレ対策に腐心するあまり、ウクライナ危機を放置していることから、中ロ影響拡大、資源囲い込みなどの複数の悪影響を生み出しています。

西側がケージから抜け出せないのは、インフレの根本原因であるウクライナ危機を鎮静化する策を講じていないためです。「ウクライナ危機」というインフレの根本原因を解決しない限り、いくら利上げを行っても、インフレを沈静化することはできません。

ウクライナ危機が勃発したことで、「買わない西側・出さないロシア」の動きが生まれ、それにより、世界各地で玉突き的な供給不足(場当たり的な資源調達)が発生しています。(ロシアは西側が勝手に回転し、勝手に不安を拡大させている様を見て、ほくそ笑んでいるかもしれません)

この点もまた西側の「体力低下」と言えるでしょう。体力があれば、「買わない」を断行しながら、インフレに耐え忍ぶことができるはずです。無理な利上げをすることもないでしょう。

図:インフレの回転ケージ(筆者イメージ)
図:インフレの回転ケージ(筆者イメージ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。