週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.44ドル高の87.93ドル、ブレント原油は3.7ドル高の96.02ドルとなった。

 前週末21日の海外原油上昇した。22日に閉幕する中国共産党大会後ゼロコロナ政策が緩和される可能性が報じられたことで需要回復が意識された。また、米国の利上げペースの鈍化も意識されドル安進行したこともドル建て価格を支えた。

 週明け24日の海外原油相場は反落した。中国の貿易統計で原油輸入量が前年比2%程度減少していることが示されたことや、欧米のPMIの低下が示されたことでリセッション入りが意識された。翌25日は反発した。米国の利上げペース鈍化の思惑から米国株式市場が上昇したことなどを背景に原油も買い戻される展開となった。同日IEA事務局長はLNGの逼迫や産油国の減産で世界は初めて真のエネルギー危機に直面したと述べ、エネルギー危機の長期化や供給懸念の深刻さが意識された。翌26日は大幅に上昇した。ドル安の進行や米国EIA石油統計で原油在庫は増加したものの製品需要が2000万Bの大台を超えたことや米国の原油輸出が513万Bと過去最高を更新したことが材料となった。翌27日も上昇した。真新しい材料には欠いたが、引き続きドル安が支えとなる中、ロシア離れを加速する欧州のエネルギー懸念や留出油の供給懸念が下支えした。

原油チャート

 ドル建ての原油はドル安や冬季を控えた供給への懸念などから底堅い展開となりやすいか。ただし、円建ての価格に関しては、時折入る財務省の為替介入などからドル円のレートは次第に上値を削りつつあり、ドルの調整と同時進行するようだと調整幅が大きくなる可能性がありしばらく要警戒か。為替面を除けば原油は11月より減産方針が示されていることもあり底堅い展開となりやすいのではないか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。