週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比2.03ドル安の88.34ドル、ブレント原油は1.26ドル安の95.59ドルとなった。

 前週末はドル安進行したことや、中国がゼロコロナ政策を緩和するとの期待感が支えとなり堅調な推移となったものの、その後中国政府がゼロコロナ政策を堅持する方針を示したことから下げ幅を縮小する展開となった。

 週初めは、中国が経済活動再開に向けてコロナ規制の緩和を検討していると伝わったことが支えとなったものの、具体的な日程は設定していないこと等から戻りを売られ値を消して引けた。8日は中国でコロナ感染者数が増加傾向にあることから規制緩和への期待感が後退したほか、インドがロシア産原油の購入を継続することを確認したことが重しとなり軟調な推移、またAPI統計で原油やガソリン在庫の大幅増加が示されたことが重しとなり下げ幅を拡大することとなった。9日は、引き続き中国のコロナ感染者数拡大により制限の緩和期待が後退したことが重しとなったほか、EIA統計において原油在庫が予想以上に増加していたことが重しとなって大幅に続落した。10日は、米CPIの伸びが事前予想を下回ったことから利上げペースの鈍化観測が強まり、ドル安進行したことが支えとなった。一方で、中国での石油需要の減少懸念や、米中間選挙の最終結果が判明せず先行き不透明感が強まったことは重しで、上げ幅を縮小して引けた。

NY原油チャート

 今週の原油相場は、底堅く上昇する展開が想定される。テクニカル面では、WTIで10月10日の92.34ドルと11月7日の93.74ドルでダブルトップを形成するカタチとなっていて、先週は戻りを売られて値位置を切り下げたものの、前述の通り米CPIの結果を受けてドル安・株高・商品高の相場付きとなっている。ファンダメンタル面では、需要期である北半球の冬季が近づき供給懸念がクローズアップされやすく、11月からのOPECプラスの200万Bの減産、12月5日からのロシア産原油の締め出しが下支えするであろう。またNY株式市場は戻り高値を更新して3万3000ドル台後半まで上伸しており、マーケットのリスク選考姿勢から大きく下に売られることは想定しづらくなっている。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。