[Vol.1372] 「分断」起因の金相場への上昇圧力は長期化か!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。80.94ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,815.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は12,945元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年01月限は572.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで763.6ドル(前日比3.3ドル拡大)、円建てで3,411円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月2日 17時11分頃 6番限)
7,786円/g
白金 4,375円/g
ゴム 217.5円/kg
とうもろこし 44,690円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『分断』起因の金相場への上昇圧力は長期化か!?」
前回は、「『分断』はスポーツの大会だけではない」として、W杯のパートナー企業、スポンサー企業数の推移(国別)について、述べました。

今回は、「『分断』起因の金相場への上昇圧力は長期化か!?」として、自由民主主義指数について、述べます。

スウェーデンのヨーテボリ大学のV-Dem研究所が公表する、自由民主主義指数の状況を確認すると、すでに世界は2分割されているように見えます。

青が濃いほど自由で民主的であり、赤が濃いほどそうでないことを示しています。(行政の抑制と均衡、市民の自由の尊重、法の支配、立法府と司法の独立性など、自由・民主主義的な傾向を示す複数の側面から、このデータは計算されている)

W杯と国連決議で、「非西側」に回っている国々の多くは、赤やオレンジの国々、つまり「民主的でない」国々です。

W杯と国連決議の状況はほんの一例にすぎず、もはや世界全体としては「分断」が鮮明になっていると言えるでしょう。(世界全体として分断が起きているから、W杯や国連決議でも分断が起きている)

「黒い悪」を絶滅させるため、強力なルールを作ると、何が起きるでしょうか。そのルールにしばられない「グレーな悪」が誕生し、また別の軋轢(あつれき)が生じます。

西側がやろうとしている「民主化」や「脱炭素」は、白(純粋な状態)を目指す行為だと言えるでしょう。かえってその行為が、「非西側」を生み、団結を強めている可能性があると、筆者は考えています。

今、分断を解消するために役立つ第三者を探すことすら困難な状況にあるため(国連も機能不全状態)、分断は長期化する可能性があります。金(ゴールド)相場への、分断起因の上昇圧力は、長期化する可能性があると筆者は考えています。

図:自由民主主義指数(2021年)
図:自由民主主義指数(2021年)

出所:V-Dem研究所のデータおよびMapChartをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。