[Vol.1373] 農産物相場は長期視点で引き続き高水準を維持

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.02ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,810.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は12,860元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年01月限は558.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで782.15ドル(前日比0.85ドル縮小)、円建てで3,467円(前日比14円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月5日 17時39分頃 6番限)
7,807円/g
白金 4,340円/g
ゴム 217.8円/kg
とうもろこし 44,250円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:ドル/ブッシェル
シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:ドル/ブッシェル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「農産物相場は長期視点で引き続き高水準を維持」
前回は、「『分断』起因の金相場への上昇圧力は長期化か!?」として、自由民主主義指数について、述べました。

今回は、「農産物相場は長期視点で引き続き高水準を維持」として、食料価格指数の推移について、述べます。

世界各地で生産された農産物の多くは、人間の口に入ります。「食料」となるわけですが、その「食料」の価格は、以下のとおり、急騰しています。

FAO(国連食糧農業機関)のデータによれば、2022年(11月までの平均)の食料価格指数は、名目が144.9、実質が141.7と、統計史上最高です。「狂乱物価」と呼ばれた1970年代の「オイルショック時」よりも高いことがわかります。

同指数がウクライナ危機勃発(2022年2月)前の2020年から上昇しはじめた背景には、コロナ・パンデミックからの経済回復、米国の金融緩和(ともに2021年半ばごろまで)、各種異常気象発生、ロシアの軍事侵攻を先取りした供給不足懸念(ともに2022年初旬まで)、などが挙げられます。

そして、ウクライナ危機が勃発。3月ごろに指数を構成する穀物、食用油、肉、砂糖などが大暴騰しました。その後はウクライナ危機起因の不安感の継続、米国の金融引締め、中国のロックダウンなどによる世界的な景気鈍化懸念、米国の金融引締め起因のドル高(ドルで取引されている商品にとって下落圧力)などにより、下落しましたが、あくまで「歴史的な高値からの下落」にとどまり、長期視点では高止まりしています。

図:食料価格指数の推移 2014年から2016年の36カ月の平均を100
図:食料価格指数の推移 2014年から2016年の36カ月の平均を100

出所:FAO(国連食糧農業機関)のデータをもとに筆者作成

 

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このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。