ユーロ高が、金相場の先行指標か否か?

著者:菊川 弘之
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 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11月30日、米ワシントンのブルッキングス研究所で講演した。利上げを減速する時期について「早ければ12月の会合になる」と表明。FRBはすでに「かなり積極的な」利上げを行っているとして、インフレの早期鎮静化のためだけに一段の大幅利上げで経済を破綻させることはしないと言明した。ターミナルレート(利上げの最終到達点)の推測は示さなかったが、9月の政策金利見通しで示した4.6%より「やや高く」なる可能性が高いと述べた。

 11月の米雇用統計や、11月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が市場予想を上回り、米利上げが長期化するとの見方か再浮上したものの、FRBが12月会合で利上げ幅を0.75%から0.5%に縮小するとの観測に大きな変化は出ていない。

 CME FedWatchでは、0.5%の利上げがコンセンサスとなっている状況に大きな変化はなく、98年高値と22年高値を重ね合わせた自己相似(フラクタル)も継続している。9日に発表される11月の米生産者物価指数(PPI)を前に様子見ムードが高まっているが、12月FOMC(14-15日)での0.5%の利上げ見通しに大きな変化は出ないだろう。

 市場の関心は米連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表する委員らの政策金利見通しに集まっている。来年前半までは、利上げは続くと見られるものの、原油価格・小麦価格は既に、ロシア・ウクライナ戦争以前レベルにまで値段を下げており、利上げ幅は小幅にとどまると見られる。徐々に、利上げの最終局面が接近してきた感触だ。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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