週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.93ドル高の75.90ドル、ブレント原油は4.37ドル高の80.98ドルとなった。

 前週末の海外原油は続落。露プーチン大統領がロシア産原油の上限設定に対抗するために減産を示唆したことや、カナダと米国を結ぶパイプラインが引き続き停止していることは支えとなったものの、主要国中銀の利上げによる景気悪化懸念が相場を圧迫した。

 先週はパイプラインの停止が支えとなるなかでドル安進行したことが相場を押し上げたが、週末にかけては利食い売りに押される格好となった。週明け12日は反発。上述のパイプラインの再開見通しが不透明であることや、米CPIやFOMCを控えて米株式が堅調に推移したことから原油に買い戻しが入る格好となった。一方で、ブレント原油に対するロシアのウラル産原油のディスカウント幅が拡大していることは重しとなっている模様。13日は続伸。米11月CPIの伸びが鈍化したことでドル安進行し、リスク回避姿勢が後退したことが相場を押し上げた。また引き続きパイプライン停止による供給混乱懸念も支援要因となっている。14日は続伸。OPECとIEAが2023年の世界の石油需要が回復するとの見通しを示したことが好感され堅調な推移となった。FOMCでは市場予想の通り0.50%の利上げとなったが、ターミナルレートは23年に5.00-5.25%が示唆され、全体的にタカ派的な印象であったことからリスクオフムードが強まる格好となった。15日は反落。キーストーン・パイプラインの一部で稼働再開したことが重しとなった。また欧州中央銀行(ECB)や英金融政策委員会(MPC)が追加利上げを決定したことで景気悪化が意識されたことも圧迫要因となった。

原油チャート

 今週の原油相場は上値重い展開となりそうか。WTI、ブレントがそれぞれ70ドルと75ドルで下げ止まり、一旦底打ちの気配を見せている。また中国のゼロコロナ政策緩和期待や、これを背景にOPECやIEAが23年の石油需要が増加するとの見通しを示したことは支えになると思われる。しかし、FOMCでは23年の利下げは想定していないなど、タカ派的な内容からドルが下げ止まる格好となったことや、キーストーン・パイプラインの一部で操業が再開されるなど復旧に向かっていることは上値を抑える要因となりそうだ。またNYダウもレンジ下抜けの気配を見せていることから、リスク回避ムードが広がると下値を試す展開も想定されるため逆張りには注意が必要である。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。