[Vol.1391] OPECは消費国の「依存心」を利用し価格つり上げ

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。77.92ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,813.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は12,685元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年02月限は552.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで793.75ドル(前日比1.85ドル縮小)、円建てで3,483円(前日比1円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月29日 16時38分頃 6番限)
7,757円/g
白金 4,274円/g
ゴム 219.0円/kg
とうもろこし 44,980円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「OPECは消費国の『依存心』を利用し価格つり上げ」
前回は、「ウクライナ危機、同危機起因の需給ひっ迫は続く」として、EUの主要国からのエネルギー(石炭、石油、天然ガスなど)輸入額について、述べました。

今回は、「OPECは消費国の『依存心』を利用し価格つり上げ」として、減産に参加するOPECプラス20カ国の原油生産量などについて、述べます。

以下のグラフの通り、OPECプラス(サウジやイラクなどのOPEC(石油輸出国機構)加盟国13カ国と、ロシア、カザフスタンなどの非加盟国10カ国の合計23カ国で構成)の原油生産量の推移と、生産量の上限および減産基準量です。20カ国が、生産量の上限を設定した「減産」を実施しています。

「200万バレルの減産」を実施しているOPECプラスですが、現在の生産量の上限を大きく下回る生産を行っています。世界の半分強の原油を生産するOPECプラスが積極的に生産量の削減を実施しているのは、なぜでしょうか。

積極的に減産を実施する理由については、表向きは「世界の景気減速を受けて減少する原油需要に見合う生産をするため」といわれています。筆者はこの点の他に、「主要産油国の財政均衡のため」という理由もあると、考えています。

図:減産に参加するOPECプラス20カ国の原油生産量など 単位:百万バレル/日量
図:減産に参加するOPECプラス20カ国の原油生産量など

出所:ブルームバーグのデータおよびOPECの資料より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。