週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比4.33ドル安の74.33ドル、ブレント原油は4.36ドル安の79.41ドルとなった。

 前週末の30日の海外原油は反発した。中国の新型コロナウィルス感染拡大による集団免疫獲得で中国経済や原油需要の正常化に対する期待が相場を押し上げた。

 年明けの3日の相場は大幅に反落した。中国の経済活動再開期待の反面、正常化には時間を要するとの見方や、同国が石油製品の輸出割り当てを引き上げるとの報が、同国の需要の弱さを意識させた。翌4日も大幅に続落となった。中国のコロナ感染拡大が重しとなった。また米ISM製造業景気指数の悪化やFOMC議事録でインフレの長期化リスクを示唆し、利上げ見通しの長期化にから生じる世界的な景気後退リスクが意識された。また、サウジアラビアの2月積みちOSP引き下げの可能性も伝えられた。翌5日は反発となった。米国のコロニアルパイプラインが、寒波による凍結により製品が流出し、一部稼働停止となったことが反発要因となった。翌6日も本稿執筆時点では反発推移となっている。東京時間に中国の不動産規制を緩和する報が好感された模様であるが、上値追いには慎重なムードとなっている。

NY原油チャート

 中国のゼロコロナ政策転換で起こっている感染者数の急拡大は集団免疫獲得を長期的にはもたらしうるものの、短期的に材料視するには楽観的な見方だろう。米国コロニアルパイプラインの寒波による停止により安値からは戻ったものの、短期で復旧見込みとのこともあり上値重い展開が続いている。今年は1月末が中国の旧正月となり同国の劇的な改善が示されることや他国への波及の度合い等を見ることなく相場の転換は難しいと思われる。また米国のFRBは高水準の金利が長期化することを示唆し、中期的な景気減速懸念は圧迫材料となりえ、その点は今後リスク回避的な動きがあれば原油も追随しやすいことも留意しなければならない。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。