[Vol.1402] 決定戦にエントリーした貴金属4銘柄

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.05ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,913.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は13,430元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年03月限は563.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで862.65ドル(前日比0.35ドル縮小)、円建てで3,661円(前日比22円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月18日 17時35分頃 6番限)
7,954円/g
白金 4,293円/g
ゴム 228.4円/kg
とうもろこし 44,110円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「決定戦にエントリーした貴金属4銘柄」

前回は、「利下げ催促『市場』vs利上げ継続『FRB』」として、2023年の各FOMC時点のFF金利見通し上位2位を、確認しました。

今回は、「決定戦にエントリーした貴金属4銘柄」として、4つの貴金属の需要内訳を、確認します。

前々回前回、足元の金(ゴールド)価格の動向や、市場の金利見通しなどについて、述べました。ここからの数回で、金(ゴールド)をはじめとした「貴金属」を「長期投資」に利用する際の、留意点について述べます。

個人投資家の皆さまが、現実的に投資できる貴金属といえば、金(ゴールド)、銀(シルバー)、白金(プラチナ)、パラジウムの4つです。これらの貴金属は、ETF(上場投資信託)、関連株、商品先物、CFDなどで売買をすれば、短期売買が可能ですが、ここでは短期売買ではなく、長期投資を前提にします。

「長期投資になじむ貴金属は上記4銘柄のうちどれか?」という問いへの、筆者なりの答えです。まずは4つの貴金属の特徴を確認します。以下は、4つの貴金属の需要の内訳です。

一口に「貴金属」といっても、需要の内訳が異なることがわかります。最も右の「パラジウム」は、需要の90%以上が産業用です。パラジウムの場合、自動車排ガス浄化装置向けが全体の83%を占めます。その他の産業用は電子部品向け(同6%)などです。

プラチナも産業用が多い傾向があります(全体の68%)。「触媒(一定条件下で、自分の性質を変えずに相手の性質を変えること)」の作用があるため、パラジウムと同様、「自動車排ガス浄化装置向け」が多いほか(同35%)、触媒作用を用いた石油精製施設における装置や、高温に耐え得る性質を用いたガラス加工の製造装置などに使われています。

銀(シルバー)の産業用需要のメインは太陽光発電装置向けです(全体の10%超)。しばしば、「貴金属は宝飾品」というイメージが先行しがちですが、実際のところは、金(ゴールド)を除けば産業用がメインです。

金(ゴールド)は宝飾が全体の55%、投資が同25%、その他(中央銀行の退蔵など)が11%強です。需要の内訳が異なることは、4つの貴金属の値動きに「強弱」が発生する要因になります。次回以降、値動きの「強弱」ついて述べます。

図:4つの貴金属の需要内訳(2021年)
図:4つの貴金属の需要内訳(2021年)

出所:WGC、Silver Institute、Johnson Mattheyのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。