[Vol.1404] 価格水準が高すぎて脱落した銘柄は一つ

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.25ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,929.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は13,390元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年03月限は563.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで887.85ドル(前日比5.05ドル拡大)、円建てで3,710円(前日比8円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月20日 17時38分頃 6番限)
7,983円/g
白金 4,273円/g
ゴム 228.4円/kg
とうもろこし 43,710円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「価格水準が高すぎて脱落した銘柄は一つ」
前回は、「変動率が高すぎて脱落した銘柄は二つ」として、4つの貴金属の価格変動率を、確認しました。

今回は、「価格水準が高すぎて脱落した銘柄は一つ」として、4つの貴金属の価格変動を、確認します。

「変動率」のほか、重要な要素に挙げられるのが、「価格水準」です。以下は、4つの貴金属の価格推移です(1990年1月を100)。参考までに前回述べた「変動率」の箇所で脱落したパラジウムと銀(シルバー)も掲載しています。

長期視点では、4つの貴金属の価格推移における「山と谷のタイミング」に、大きな差はないようにみえます。しかし、前回述べたとおり「変動率」は大きく異なります。「変動率」が異なる状態が長期間継続すると、同じ貴金属といえども、「価格水準」が異なってきます。

グラフのとおり、パラジウムと銀(シルバー)、そして金(ゴールド)は、比較的高い水準にあると言えます。一方、プラチナは比較的安い水準にあります。

この点に関連する、興味深い資料があります。楽天証券が毎月実施している投資家アンケート「楽天DI」内で行った、今月の質問の一つ「もし、金(ゴールド)関連の商品を買うのであれば、どのような時に買いたいですか?」で得られた自由回答の集計です。

この資料は、「株価」「下がる」「乱高下」「戦争」「起きる」「価格」「安い」「買う」などのキーワードの出現頻度が高かったことを示しています。つなげれば、「株価」が「下がったり」、「乱高下」したりしやすいとき、例えば「戦争」が起きているとき、あるいは(金価格)が「安い」ときに「買う」、となるでしょう。

ソ連のアフガニスタン侵攻、イラン革命、オイルショック、イラン・イラク戦争などの大規模な「有事」が頻発した1970年代・1980年代に発生した金(ゴールド)価格の急騰、いわゆる「有事の金買い」をイメージしている方や、現在の金(ゴールド)の価格帯を「高い」と感じている方が多いことが、資料からうかがえます。

「価格水準」については、確かに、足元、世界の金(ゴールド)価格の指標であるドル建ての金価格は1,900ドル/トロイオンスを超え、2,000ドル台という史上最高値レベルに差し掛かろうとしています。「高い」という印象を受けるのも、無理はないでしょう。

一方で「プラチナ」はどうでしょうか。「金(ゴールド)の価格水準が高くて買えない」という人を含め、長期の貴金属投資に「プラチナ」という選択を検討してみるのも一計であると、筆者は考えます。

図:4つの貴金属の価格変動(1990年1月を100 パラジウムのみ右軸 いずれもドル建て)
図:4つの貴金属の価格変動(1990年1月を100 パラジウムのみ右軸 いずれもドル建て)

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。