「10大リスク」から2023年の商品市場を読む(2)

著者:菊川 弘之
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(5)Iran in a corner:追い詰められるイラン

 マフサ・アミニという若い女性がイランの「道徳警察」に殺害され、全国的な反政府デモが続いている。当局は核開発を急速にエスカレートさせ、核合意復活の可能性はほぼ消滅した。そして今、イランはウクライナにおけるプーチンの帝国的野心と手を結んでいる。国内での混乱と国外での暴挙のなかで、イランは今年、欧米と新たな対立を繰り広げるだろう。

 国際原子力機関(IAEA)報告書によると、イランは濃縮度60%のウランを推定17.7キログラム製造。核兵器級である90%が目前に迫っている。核合意で定めた濃縮度の上限は3.67%で、重大な違反を続けている。

 イスラエルのガンツ国防相は2022年12月28日、軍が2、3年後にイランの核施設を攻撃する可能性があると述べた。攻撃の可能性について具体的な時期に言及するのは異例。

 国連は2022年10月、イエメン内戦でサウジアラビア主導の連合軍と、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の一時停戦延長が合意に至らなかったと発表。フーシ派は、サウジ領内などの石油施設に対する軍事攻撃を再開すると警告している。

 中東の地政学リスクの高まりは、原油の大規模供給障害を伴う可能性が高い。供給リスクが背景のインフレは、金融政策では抑えられない。

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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