週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は先週比5.56ドル安の75.75ドル、ブレント原油は5.71ドル安の82.12ドルとなった。

 前週末の原油相場は1月のバルト海経由のロシア産原油輸出が12月比で50%増加したと伝わったことが重しとなり軟調な推移となった。

 先週は米利上げ終了期待からドル安進行していることは支えとなった一方、ロシアの好調な原油輸出や米EIA原油在庫が予想外に増加したことが重しとなると、軟調な推移となった。週明けはG7や欧州がロシア産原油に上限価格設定を課しているものの、堅調な原油輸出が示されたことが重しとなったほか、FOMCを控えて戻り売り優勢となり軟調な推移となった。翌31日は米10~12月期雇用コスト指数の伸びが低水準となったことからFRBが利上げペースを鈍化させるとの思惑が強まり、ドル安進行したことに支えられた。また、中国の製造業購買担当者景気指数が節目の50を上回り、景気回復期待が高まったことも好感された。翌1日は米EIA統計において原油在庫が予想外に増加したことが嫌気され大幅下落する格好となった。一方でFRBが大方の予想通り0.25%の利上げを決定したものの、今後の利上げ予定について想定ほどタカ派色を強めたかったとの見方からドル安進行したことは支えとなった。翌2日は引き続き原油在庫の増加が嫌気されたほか、米12月製造業新規受注などの経済指標が予想を下回ったことから景気悪化懸念が強まり、石油需要の減少が警戒されたことが重しとなった。

NY原油チャート

 今週の原油相場は様子見姿勢の中で方向感を探る展開となりそうか。注目のFOMCでは想定よりタカ派色を強めなかったとの見方から利上げの早期終了への期待感が高まり、ドル安進行したことが支えとなった。一方で米経済指標の悪化から足元の石油需要の減少が警戒されていることは重しとなっており、在庫が増加傾向にあることは嫌気されている。来週にかけては5日から西側諸国がロシアへの追加制裁として石油製品に価格上限設定を課すことから一時的に物流が混乱する可能性があり、安値では支えられやすい一方、チャートの悪化からテクニカル的には弱気シグナルが出ており、方向感を探る展開となりそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。