[Vol.1415] 中央銀行の金(ゴールド)購入量は半世紀ぶり高水準

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反落などで。73.47ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反発などで。1,886.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は12,735元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年03月限は518.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで905.65ドル(前日比9.35ドル拡大)、円建てで3,791円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月6日 18時21分頃 6番限)
7,934円/g
白金 4,143円/g
ゴム 227.8円/kg
とうもろこし 43,780円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「中央銀行の金(ゴールド)購入量は半世紀ぶり高水準」
前回は、「『人類最後の日』まで、あと90秒!?」として、米国の科学雑誌が公表する「人類最後の日」までの残り時間について、述べました。

今回は、「中央銀行の金(ゴールド)購入量は半世紀ぶり高水準」として、中央銀行の金(ゴールド)購入量を確認します。

世界的な金(ゴールド)の調査機関であるWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)の資料によると、同年の「中央銀行」の純購入量(購入量-売却量)は、55年ぶりの高水準となりました。

中央銀行は「銀行の銀行」として民間銀行への資金供給、「政府の銀行」として国家の財政収支や通貨(銀行券)の発行などの役割を担っています。また、中央銀行が「利上げ」や「金融政策の動向」などで注目を集めているのは、その国の「物価や雇用」を安定させるべく、「金利」を調整する機能を持っているためです。

例えば、日本であれば「日本銀行」、米国であれば「FRB(米連邦準備制度理事会)」、欧州であれば「ECB(欧州中央銀行)」、中国であれば「中国人民銀行」が、それらの機能を持っています。

国家の運営に非常に重要な役割を持つ中央銀行は、通貨危機などによって、他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった場合や、為替介入などに使用する準備資産を持っています。これを「外貨準備高」といいます。

そして、多くの中央銀行が「外貨準備高」の一部を金(ゴールド)で保有しています。冒頭のグラフは、中央銀行(世界合計。IMF(国際通貨基金)、BIS(国際決済銀行)などの公的機関を含む)の外貨準備高を積み上げることなどを目的に購入した量が、2022年、55年ぶりの水準に積み上がったことを示しています。

ウクライナ危機勃発(2022年2月)以降、西側(欧米や日本など)と非西側(ロシアやロシアに同調する国々)との間の溝が深まり続けています。こうした中で、非西側が、西側が多用する「米ドル」ではない通貨を模索する中で金(ゴールド)が選ばれていると考えられます。

また、ロシアは、制裁下でも資金の融通を可能にするための「抜け道」として、中国は、ウクライナ危機の混乱に乗じ、「自国通貨の安定化」と「脱米ドル」の両立を加速させる目的で、金(ゴールド)の保有高を増やしている可能性があります。

こうした背景があり、2022年は中央銀行の金(ゴールド)購入量が増え、「中央銀行」の購入が需要全体のおよそ4分の1を占めました。金(ゴールド)市場で、「中央銀行」の存在感が増してきていると言えます。

図:中央銀行の金(ゴールド)購入量 単位:トン
図:中央銀行の金(ゴールド)購入量

出所:WGCの資料をもとに筆者推計

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。