[Vol.1420] 「NISAの日」で長期投資の認知進む

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。78.85ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,873.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は12,540元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年04月限は556.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで929.3ドル(前日比6.6ドル拡大)、円建てで3,896円(前日比8円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月13日 17時28分頃 6番限)
7,912円/g
白金 4,016円/g
ゴム 222.2円/kg
とうもろこし -円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『NISAの日』で長期投資の認知進む」
前回は、「今に強烈なスポットライトを当て続ける」として、海外ドル建て金(ゴールド)価格の推移を、確認しました。

今回は、「『NISAの日』で長期投資の認知進む」として、つみたてNISA対象商品(221本)を、確認します。

毎年2月13日は「NISA(ニーサの日)」です。毎年この日は、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称が、イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)の日本版であることや、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる(税金がかからなくなる)制度であることなどが、多数の金融機関やメディアによって広く、伝えられます。

令和5年度税制改正の大綱等において、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されたことから、特に今年のNISAの日は、今までのNISAの日の中で最も「NISA熱」が高かった印象を受けました。各所のさまざまな訴求を見ると、長期投資、分散投資、非課税制度、手数料が低水準、などのキーワードを多数、見かけました。

こうしたキーワードは、金融庁のウェブサイトにある、「つみたてNISA」に関する記載でも見られます。

「特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です」「つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています」。(金融庁のウェブサイトより抜粋)

この記載にある「つみたてNISAの対象商品」とは、どのようなものなのでしょうか。以下はその全体像です。

公募投信(一般的な投資信託)214本とETF(上場投資信託)7本、合計221本が、つみたてNISAの対象商品です。公募投信の内訳を見てみると、「株式型」が合計116本、「資産複合型」が合計98本です。

以下の図のとおり、「複合資産型」の多くは「株価指数」を含みます。その他、債券(国内外)、REIT(リート:不動産投資信託)などが含まれる場合があります。「ETF」もほとんどが「株価指数(国内外)」を原資産にする商品です。つまり、現在の「つみたてNISA」は、「株式市場への長期積立投資」という色合いが強いと言えます。

今後数回に渡り、「特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度」である「つみたてNISA」が強く依拠する「株式市場」を考察する上での長期視点の注意点を述べます。日々、コモディティ(国際商品)市場を通じて、マクロ経済やさまざまな国の政治などを分析している筆者ならではの視点で、書き進めます。

図:つみたてNISA対象商品(221本) (2023年2月9日時点)
図:つみたてNISA対象商品(221本)

出所:金融庁の資料より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。