[Vol.1452] 金(ゴールド)相場の長期上昇要因になり得る

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。74.29ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,996.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年05月限は11,975元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年05月限は526.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1002.85ドル(前日比2.10ドル拡大)、円建てで4,279円(前日比40円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月31日 14時05分頃 6番限)
8,427円/g
白金 4,148円/g
ゴム 210.5円/kg
とうもろこし 42,700円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金(ゴールド)相場の長期上昇要因になり得る」
前回は、「西側内で『思想の足並み』が乱れる懸念浮上」として、金(ゴールド)市場の七つのテーマ(円建ては八つ)、述べました。

今回は、「金(ゴールド)相場の長期上昇要因になり得る」として、ドル建てスポット金(ゴールド)価格(月足 終値)の推移を、確認します。

この数週間、主要メディアが報じたニュースに、自由で民主的であることを旨とする西側諸国に重い問いを突き付けるものが、複数ありました。

ロシア兵とウクライナ兵、双方が人権侵害に関わっている疑いがある、南アフリカには民主主義を否定する黒人がいる、日本各地でここ数年、EV充電器の撤去が相次いでいる、などです。いずれも国内大手メディアが日本語で報じました。

前回までの4回で述べた「EUの方針撤回」も同様です。こうしたニュースを見ていると、西側諸国で迷いが生じている、西側の「正義」が崩れ始めている、ように感じます。

こうしたムードは、西側諸国の「中央銀行」による金(ゴールド)保有高積み増しや、それを受けた非西側諸国の「中央銀行」のさらなる積み増しのきっかけになったり、思想の対立・迷いなどがきっかけで生じる「無自覚のリスク」を大きくしたりする可能性があります。これらは、金(ゴールド)相場の長期視点の上昇圧力になり得ます。

(「中央銀行」、「無自覚のリスク」については、[Vol.1451] 西側内で「思想の足並み」が乱れる懸念浮上を参照)

以下の図の通り、足元、金(ドル建てスポット)価格は、高水準で推移しています。この図を見て「高いからもう上がらないのではないか?」と考えるのは早合点であると、筆者は考えています。

[Vol.1419] 今に強烈なスポットライトを当て続ける」で述べた、「今ここ」に強いスポットライトを当て、かつ、この5回で述べたEUを取り巻く環境、EUの思惑などを考慮すれば、長期視点ですが、金(ゴールド)価格が上値を伸ばす様子がイメージできると、筆者は考えています。

図:ドル建てスポット金(ゴールド)価格(月足 終値) 単位:ドル/トロイオンス
図:ドル建てスポット金(ゴールド)価格(月足 終値)

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。