週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比6.43ドル高の80.70ドル、ブレント原油は6.06ドル高の85.12ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。米2月個人消費支出の伸びが鈍化し、FRBが利上げに慎重になるとの思惑からリスクオンムードになったことが相場を押し上げた。また引き続きイラク北部のクルド自治区からの輸出が停止していることも支えとなった。

 先週は主要国産油国の追加減産により急騰したものの、その後は米経済指標が弱い内容となったことで上値は抑えられる展開となった。週明け3日は大幅続伸。2日に主要産油国が5月から年末まで日量約116万Bの追加減産を決定したことでアジア時間から急騰する格好となった。またロシアも日量50万Bの自主減産を継続するとしており、従来の同200万Bを合わせると減産幅はおよそ366万Bなることから供給ひっ迫懸念が強まった。一方でクルド自治区からの輸出を再開することで暫定的な合意に至ったことはやや重しとなった模様。4日は小幅続伸。引き続き追加減産が支えとなっているが、2月米製造業受注や3月中国PMIが弱い内容となったことが上値を抑える格好となった。5日は小幅反落。主要産油国の自主減産発表後の買いが一巡し、週末7日のグッドフライデーを控えて動意に欠ける展開となった。また3月ADP雇用統計が市場予想を下回るなど景気悪化が懸念されていることは重しとなったが、EIA統計で原油、製品在庫が予想以上の取り崩しとなったことで下値は限定的であった。6日は横ばい。グッドフライデーにより主要市場が休場となることから積極的な売買が見送られる展開となった。

NY原油チャート

 今週の原油相場は先高観が強まる展開か。2日にOPECが年末まで日量116万Bの自主減産を発表したことから3日のアジア時間でギャップを開いて急騰。WTIは4日に一時81.81ドルをつけた後は週末のイースター休暇を前に利食い売りに押され80ドルを挟んだ動きとなっている。サプライズな自主減産を受けゴールドマンは24年4月までにブレント原油が100ドル台に乗せる予想をだしており下値限定的な動きとなりそうだ。また、EIA統計では米原油在庫が2週連続の減少、ガソリン在庫も大幅減少となった。輸出の堅調さに加え米国内のガソリン需要が旺盛となっており、今後の需要期を控え一段のタイト化が見込まれ売られにくい流れとなりそうだ。目先はWTIで1月に付けた83.04ドルの年初来高値を更新できるかが注目される。欧米の金融システム不安も一服しており、経済指標の発表で株式に連れ安となる場面は良い買い場になると予想する。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。